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京都大学ナンバーワン教官が教える「勉強することのホントの意味」 これがミライの授業だ

京都大学ナンバーワン教官が教える「勉強することのホントの意味」 これがミライの授業だ

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京都大学ナンバーワン教官が教える

推古元年(西暦593年)4月、聖徳太子は現在の大阪・四天王寺に、仏法修行の場として「敬田院」を開設した。

この日本で初めてつくられた公教育施設である敬田院の精神を受けつぎ、社会に貢献する女性の育成に力を入れているのが、学校法人四天王寺学園が運営する四天王寺中学・高校である。

2017年11月6日、その四天王寺中学の女子中学生約500名に、「なぜ勉強するのか」と題した講演が行われた。

演台に立ったのは、京都大学ナンバーワン人気教官の瀧本哲史氏。同氏は『ミライの授業』『武器としての決断思考』などのベストセラー作家としても知られている。

「ミライ」を生き抜いていかねばならない彼女たちに、瀧本氏は何を語り、どんなメッセージを贈ったのか。

京都大学ナンバーワン教官が教える どうして勉強しないとダメなのか

「どうして勉強しなければならないのか?勉強しなければならない理由とはなにか?」

今を生きる多くの大人も、かつては抱いたであろうこの疑問。大阪市内の伝統ある女子名門校として知られる四天王寺中学だが、その講堂に集まった約500人の女子中学生たちも、日々感じているに違いない。瀧本氏はその答えを解き明かすために、「まず最初に、いま世の中で起きている大きな変化について、説明したいと思います」と講義を始めた。

「みなさん、資本主義って言葉、聞いたことあるでしょう。資本主義というのは、一言でいえば『好きなものを、誰でも自由にお金で買える社会』のことです。日本やアメリカをはじめ、いま世界のほとんどの国がこのシステムを採用しています。それに対して『社会主義』というシステムもあります。

社会主義の国では、どこかにいる偉い官僚や政治家が『みんなはこれを買いなさい』と決める仕組みで社会を運営しようとしました。しかし、これはほとんどの国でうまくいきませんでした」


資本主義の社会では、何かを作るのが得意な人が、自分の好きなものを作り、それを自由に売ることでお金が儲けられる。

そのことによって企業や人々の間で健全な競争が起こり、世の中が便利に進歩していくというシステムだ。しかし近年、この資本主義システムが世界中で急速に進行したことによって、「あらゆる人が世界中から一番良いものを一番安く買えるようになり、そのことが日本経済の低迷をもたらした」と瀧本氏は語る。

「iPhoneを作っているアップルは、どこの国のメーカーだかわかりますか?」ステージ上から中学生たちに問いかけると「アメリカ!」とあちこちから声が上がった。

「そうです。でもじつはiPhoneの中の部品は、ほとんどが日本や台湾、韓国製です。スマホの組み立て自体も中国や台湾で行っていますから、『どこの国で作っている』と一言では言えないんですね。

スマホを持っている日本人のうち、今は半分ぐらいの人がiPhoneを使っています。富士通やNECなどの日本メーカーもスマホを作っていますが、シェアはiPhoneに比べれば非常に小さい。

昔はメイド・イン・ジャパンが『世界最高品質』の証明でしたが、今やそんなブランドイメージはゼロになってしまったんです」

資本主義が進んだ結果、現在の世界は、iPhoneのようなそれまでにない、まったく新しくて画期的な製品を最初に作りあげた企業だけが、儲けを独占する構造となっている。かつて世界の市場を制した多くの日本企業が、この10年で苦境にあえぐようになったのも、彼らが作る製品が「世界一」ではなくなったからだ。

資本主義の進歩と歩調を合わせ、社会に巨大な変化を起こしているのが、「テクノロジーの進歩」だ。人々の働き方にも巨大な変化をもたらしているその実例として、瀧本氏はスクリーンに二人の男性の写真を投影した。

「この人たちは何をしているんでしょうか?」
「駅員さん」「キップを切ってます」

片方の写真の駅員は、何十枚も並んだキップを前にして座っている。昔は駅に自動販売機が無かったので、乗客の行き先を聞いて、その値段のキップを駅員が手売りしていたのだ。

「それが今はどの駅もこうなっていますよね」と、瀧本氏は自動改札の写真を次に投影する。

「駅員さんだけではありません。最近AIの進化にともない、あらゆる仕事がどんどんコンピュータ化されています。皆さんが大人になる頃には、『答えが決まっている仕事』のほとんどは、コンピュータや人工知能を搭載したロボットが行うようになることが確実です」

そうした未来に生きていく子どもたちは、どのような力を身につければ良いのだろうか。

ハリー・ポッターと「君たちの将来」

瀧本氏が次に映し出した写真に、場内から歓声が上がった。「ハリー・ポッターだ!」。投影されたのは、映画『ハリー・ポッター』シリーズの登場人物、ハリーやハーマイオニーたち魔法学校の生徒が横並びに立つ写真である。

「そうだね、皆さん、毎日勉強していて『なぜこんな何の役にも立ちそうにない、三角関数とか平行線の証明とかをやらなきゃならないんだろう』と思いませんか?」

無言でうなずく生徒たち。

「でも実は、皆さんが今学校で習っているのも、ハリーたちと同じ『魔法』なんです」

瀧本氏がそう言うと、生徒たちは「どういうこと?」と言いたげに、ぐっと席から体を乗り出して耳を傾けた。

「現代の魔法というのは、科学と技術です。過去の偉人たちが発見した偉大な真理や発明が、いまの私たちの生活を支えています。例えば飛行機。150トン以上もある鉄の塊が、日本とアメリカの間の空を飛んでいくなんて、江戸時代の人が見たら『魔法だ!』とびっくりしますよね。そうした技術を支えている根本は、皆さんの多くの人が嫌いな『数学』なんです」

もしも人類が三角関数を発明していなければ、飛行機を飛ばすことも船を運行することもできない。電車のモーターや車のエンジンを作ることも不可能だ。現代社会の「魔法」はここ20年でさらにスピードを上げて進化し続けている。

「今から34年前に描かれた漫画のドラえもんに、『おこのみボックス』というひみつ道具が出てきます。小さな箱に『テレビになあれ』というとテレビになって、レコードで音楽を聞くことも、カメラにもなる。

それってつまり、皆さんが持ってるスマホですよね。スマホはさらに、ゲームもできれば電話やLINEで友だちと連絡を取り合ったりもできます。わずか30数年前の『夢の道具』が、それ以上の性能で、現実になっているんです」

医学の進歩でいえば、これから人間の平均寿命は100年を超える時代になるとも言われている。米国の起業家イーロン・マスクが経営するスペースX社は、人類を火星に送り込むことを真剣に目指してロケットを開発している。

今日の瀧本氏の講義を聞く彼女たちが大人になる頃には、道路を走る車の多くはAIにより自動運転になっている可能性が高い。20年前に今のスマホの隆盛を予見できた人は誰もいなかった。テクノロジーの進歩がもたらす未来は、現在を生きる我々の想像力をきっと超えるだろう。

「そうした技術の元になっているものこそ、今、皆さんが学校で習っている数学や自然科学です。つまり今、皆さんは学校で、『魔法の元』を習っているんです」

瀧本氏は、学校で教えてくれる学問の重要性について、次のような小咄を例に解説する。

「昔、中国の田舎に、数学がすごくできる中学生がいました。ある数学の研究者がその子の才能を見抜いて、『君は都会の学校に行って、数学の勉強をするべきだ』とアドバイスしました。しかし、その子の親は『うちで農業を手伝わせます』と進学を止めたのです。

何年かして研究者がその子に再会すると、彼はこう言いました。『先生、僕はすごい発見をしました。この公式を使うと、あらゆる2次方程式が解けるんです』。彼が見せたのは、皆さんが中3で必ず習う『解の公式』でした」

生徒たちがどっと笑う。「ゼロから車輪を再発明する」ようなことは、時間の無駄でしかない。すでに解明されている真理や、かつての人々が見出した知見、発明された技術は、できるだけ効率的に学ぶことが、新しいものを生み出すためには必要なのだ。

ナイチンゲールが偉大なワケ

「この人の顔は、きっと見たことがあると思います」

そう言って瀧本氏が映し出したのは、今から200年近く前のイギリスで、当時の世間の「常識」と戦い、医療の進歩に多大な影響を与えた女性、フロレーンス・ナイチンゲール(1820〜1910)である。

「ナイチンゲールという人は、何をした人?」
「看護をした人」
「そう、みんなそう思いますよね。でもそれはナイチンゲールの偉大な功績の、実は半分でしかありません。意外なことにナイチンゲールは、皆さんの多くが好きではない、数学の専門家だったんです」

看護と数学? いったいどういう関係があるのだろう、と生徒たちの顔にとまどいの表情が浮かぶ。

「兵士が戦争で死ぬのは、鉄砲で撃たれたことが理由だと思うでしょう。でも実際には、その30倍もの兵士が『きちんと看病されないこと』で死んでいたんです。ナイチンゲールはロシアとオスマン帝国の間で起きたクリミア戦争に派遣されたとき、重症を負ったわけではないのに、死ぬ兵士があまりにも多いことに気づきました。

床や壁は腐り、ゴキブリが這い回って悪臭が立ち込める戦地の病院には、医療物資や薬品も足りなかった。その不衛生な環境で、抵抗力の弱った兵士たちは感染症にかかって、ばたばたと死んでいたのです。

ナイチンゲールがすごいのは、そのことに気づいた後で、兵士たちを看護するだけでなく、彼らの死因をきちんとした統計データにとり、一目でわかるグラフにしたことにあります」

その当時は、棒グラフも円グラフも普及していない。ナイチンゲールは独自に「コウモリの翼」と呼ばれる円グラフを作り、兵士たちの死因の統計を1000ページ近くにもなる報告書にまとめ、イギリス女王が直轄する委員会に突きつけたのである。

ナイチンゲールがこの時に明らかにした、客観的なデータにもとづく医療施設の衛生環境の改善がなければ、現代の病院における死亡率も大きく変わっていたかもしれないのだ。ナイチンゲールは裕福な家庭に生まれたことから、幼少の時から最高の教育環境を与えられ、語学や文学、そして数学や統計学を学んでいた。

彼女がやり遂げた人類史に残る大きな「仕事」は、彼女が看護師になるずっと以前に学んだ「数学」と「統計学」によって達成されたのである。

続いて瀧本氏がナイチンゲールと比較の対象として、「残念だった人」として紹介したのが、文学者としては超一流の作品を残した森鴎外だ。当時最先端のドイツ医学を学んだ森鴎外は、明治時代に国民病と呼ばれた「脚気」の原因を、「脚気菌」という細菌が起こしている結核やコレラと同様の伝染病だと考えた。

「しかし脚気の本当の原因は、ビタミンB1の不足であることは今では常識です。当時も、ビタミンB1を多く含む麦を食べている人は、脚気にならないことがわかっていた。しかし陸軍軍医のエリートであった森鴎外は、その事実を無視して『食事なんて関係ない』と主張し続けた。

その結果、日清・日露戦争で何万人もの兵士が脚気が原因で命を落としました。多くの人々の役に立つ、新しいことを発見するポイントを、私たちはナイチンゲールから学ぶことができます。それは『思い込みではなく、誰もが納得するデータを集めること』なんです」

憲法ってナニ⁉

瀧本氏が次に紹介したのは、ベアテ・シロタ・ゴードン(1923〜2012)という女性だ。瀧本氏が「皆さんこの人を知っていますか?」と問いかけるが、誰からも手が上がらない。しかしこの女性こそが、わずか22歳にして、男尊女卑で女性が虐げられていた終戦直後の日本社会に「男女平等」という概念をもたらした人物だ。

「このベアテという女性はオーストリア生まれのユダヤ人で、親がピアニストでした。幼い頃から日本をふくむ世界中で暮らしたことから、日本語、フランス語、ドイツ語、英語など6ヶ国語に堪能となり、太平洋戦争の開始後その語学力を活かして、アメリカ陸軍の情報部や『タイム』という雑誌社で働きました」

ベアテはタイム社で働いていたとき、非常に優秀でありながら女性であるという理由で、リサーチ・アシスタントとしての仕事しか与えられなかった。当時のアメリカも男女平等の国ではなかったのである。

太平洋戦争が終わると、ベアテはGHQの職員に応募し、両親が暮らしていた「第二の故郷」である日本に帰ってきた。そして民主国家として日本が生まれ変わるための「日本国憲法」の草案づくりに携わる。

ベアテらに与えられた草案づくりの期間は、わずか9日間。彼女は持ち前の語学力と、リサーチャー時代に培った調査力を活かし、世界の国々の憲法を読み比べて、日本国憲法に明記されることになる「男女平等」の理念の土台を作ったのである。

日本国憲法第24条
一婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
二配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

「いま皆さんがこれを読むと『当たり前』と思うかもしれません。しかし戦前は、まったく当たり前ではなかったのです。まず女性には『財産権』という自分の財産を持つ権利が認められていなかった。

日本だけでなく、当時、世界でも男女平等の国はほとんどありませんでした。イギリスで1813年に刊行されたジェーン・オースティンの『高慢と偏見』という小説は、夫がいない女性が、父親が死ぬと財産が国に没収されてしまうので、急いで良い結婚相手を見つけうようとする、という筋書きです。日本国憲法ができた1946年の時点でも、ベアテが草案を作ったこの2つの理念を憲法に明記した国家は、世界でもきわめてまれでした」

重要なのは、「日本国憲法というのは、日本人だけで作った憲法ではない」ということだと瀧本氏は言う。

「日本国憲法は、アメリカやドイツをはじめとする世界中の憲法の『いいとこどり』をして作った憲法なんです。ベアテは6ヶ国語ができたから、世界中の憲法を集めて読み込み、日本国憲法に活かすことができた。ベアテがもしいなければ、日本国憲法に男女平等を明記した24条が明記されることは、ほぼ無かったでしょう」

実際、草案についての話し合いで日本政府側は、24条について『日本には男女同権の土壌はないから受け容れられません』と反対したという。だがGHQ側のリーダーが「この条文は日本で育ち、日本をよく知っている通訳のシロタさんが書いたもので、日本にとって悪いことが書かれているわけがありません。彼女のために通してもらえませんか」と主張して、残されることになったのである。

京都大学ナンバーワン教官が教える ルールを作るのはあなたたち

「ちなみに憲法の『いいとこどり』をしたのは、ベアテだけではありません。皆さん、『憲法』という言葉を日本で最初に使ったのは誰だかわかりますか?

しばらく生徒たちはざわざわと話し合ったあと「……聖徳太子?」という声が上がった。

「そのとおりです!じつは聖徳太子も、憲法をゼロから自分で作ったわけではなく、よその国の憲法を『いいとこどりして』十七条憲法を作っています」

聖徳太子の生きた時代、日本は海を隔てた中国大陸の大国・隋に脅かされていた。隋の周辺にあったアジアの国々は、隋に対する朝貢を欠かさず、日本もその例外ではなかった。

聖徳太子は、国家として日本がきちんとした仕組みを整えなければ、いずれ隋に征服されてしまいかねないと考え、隋と同レベルの国となるために、十七条憲法や冠位十二階などの制度を整えた。瀧本氏は「それらはほとんど隋の制度や条文を『いいとこどり』したものです」と指摘する。

「十七条憲法の中でもっとも有名な言葉、『和をもって尊しとなす』も、中国の偉大な思想家・孔子の『論語』に出てくる言葉からとっています。しかし聖徳太子のすごいところは、隋という当時の世界最大の国から、いちばん良いところを学び、その本質的な精神を自分たちのものにしたところなんです。

ちなみに真似された隋という国のほうは、法を作ってもきちんとそれを実行しなかったため、社会も政治も乱れ、わずか30年で唐に滅ぼされてしまいます。聖徳太子は十七条憲法をもとに、その法に流れる精神をちゃんと実行した。だからこそ『和をもって尊しとなす』の精神は、今も日本に残り続いているわけです」

瀧本氏は、四天王寺中学の礎である敬田院を作った聖徳太子について、解説を続けていく。

「皆さん、聖徳太子って、どういうイメージですか? なんとなく昔からの伝統とかを重んじる人、という感じを抱いていませんか。それは、ぜんぜん違います」

聖徳太子の事跡のなかでも、後の日本の歴史に多大なる影響を与えたことの筆頭といえば、仏教の国教化が挙げられるだろう。もともと仏教は、当時の日本に存在しなかった宗教だ。それまで日本は太古からの自然信仰に基づく、八百万の神を奉じる国だった。国家としての祭りや祈りも、すべて神に奉じられていたのである。

「しかし聖徳太子は、『これからは仏教の時代だ』と宣言して、十七条憲法の中にも『三宝を敬え』と書き、各地に寺を建立して広げていったわけです。もちろんこの改革に猛反対にあいます。

聖徳太子は、伝統の破壊者であり、創造者だった。四天王寺に学ぶ皆さんには、ぜひ聖徳太子の根本にある『他のところから良いことを学ぶ』『伝統に従うのではなく、自ら伝統を作り出す』精神を学んで欲しいと思います」

講義のなかで、瀧本氏は、「鉄の女」と呼ばれたイギリス首相のマーガレット・サッチャーや、63歳で国連難民高等弁務官になり、多くのクルド難民を救った緒方貞子氏らの軌跡を紹介していった。

そして最後にまとめとして、次のように語った。

「今日の話では、22歳の女性でも国の根本を変えるような憲法が作れるし、国連でまったく働いたことがない高齢の女性でも、ルールを変えて人を救うことができることを話しました。つまり『新しいこと』は、いつも世の中の新人が始めるんです。

昔のヨーロッパで、天動説が地動説に変わったのは『世代交代』が理由でした。天動説の信奉者は、結局死ぬまでそれを信じていた。『天動説はおかしい』と考える、新しい考え方を持つ若い人が世の中の多数派となったとき、初めて地動説が『定説』になったのです。

皆さんは若くてどこの世界に行っても新人です。でもそれゆえに、世の中を変えられる可能性が、大人よりもずっと大きいんです」

いつの時代も新しい発見は、常に若くて古いパラダイムに染まっていない新人によってもたらされる、と瀧本氏は力強く語った。

「では、今日の最初の質問に戻ります。皆さんは、何のために勉強するんでしょうか?」

誰かいるかな、と瀧本氏が広い会場を見回すと、おずおずと手を上げる一人の生徒がいた。マイクを渡された彼女は、次のように述べた。

「……私たちは今は何者でもないけれど、未来には何にでもなれる可能性があると思います。だからこそ、今興味が持てないことでも、勉強する価値がある、ということではないでしょうか」

答えを聞いた場内の女子中学生たちから「すごーい!」という声があがり、大きな拍手が湧き起こった。瀧本氏が今日の講義に込めた思いは、確実に彼女たちに伝わったようだ。

京都大学ナンバーワン教官瀧本先生のメッセージ

「そのとおりです。皆さんはまだ若いから、自分たちの物語を作ることができる。自分で脚本を描いて、自分が主役を演じることができる。どこにでもいる女子中学生で、何者でもないからこそ、何者にもでもなれる可能性を持っている。

でも『何者か』になるためには、世の中のみんなが知っていることを知る必要があるし、みんなが知っていることを、違う角度から見られるようになる必要がある。そのためにも、今皆さんが取り組んでいる勉強を、がんばってください。今日の講義はこのへんで終わりです。くれぐれも、数学が大切ということは忘れないでくださいね」

そう締めくくり、瀧本氏は壇上を去った。会場からは生徒と父兄から万雷の拍手が鳴り響いた。

終了後、この日の瀧本氏の講義を聞いた2年生の女子二人に、感想を聞いた。Aさんは「世の中で活躍する人は男性が多いと漠然と考えていましたが、女性で世の中を変えた人がたくさんいることを知りました。将来、私は医学の道に進みたいと思いますが、コンピュータにはできないゼロからイチを生み出す仕事をしたいと思います」と語った。

Bさんは「知識だけが必要な仕事は、やがてAIに置き換わると聞いて、そのとき求められる力は、『自分の考えを言葉にして、他の人に伝えていくことなのではないか』と感じました。今日聞いた緒方貞子さんの話のように、自分が正しいと信じる道を実現するために、今の勉強をがんばりたいと思います」と述べた。

「ミライの授業」で瀧本氏が女子学生たちに伝えたメッセージは、きっとそう遠くない将来、この世界のさまざまな場所で、大きく花開くことだろう。

企業の人手不足、49.1%が正社員不足 「求人難」型の倒産が前年比2.2倍に増加

企業の人手不足、49.1%が正社員不足 「求人難」型の倒産が前年比2.2倍に増加

企業の人手不足が深刻化している。求人難を原因とした倒産が増加しており、景気回復に水を差す恐れもありそうだ。

帝国データバンクは全国の企業2万3,235社を対象に人手不足に対する企業の動向調査を実施し、その結果を11月22日に発表した。調査期間は10月18日から31日で、有効回答企業数は1万214社。
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企業の人手不足

現在の正社員の過不足状況を聞くと、49.1%(該当なし・無回答を除く 以下同じ)の企業が「不足」していると回答し、3カ月前の7月調査時より3.7 ポイント増加、1年前の調査時より7.3 ポイント増加した。「適正」は42.7%、「過剰」は8.2%だった。

業種別に「不足」と回答した企業を見ると、ソフト受託開発などの「情報サービス」が70.9%で最も高く、以下、「メンテナンス・警備・検査」(64.3%)、「運輸・倉庫」(63.7%)、「建設」(63.5%)などが続いた。企業の規模別では「大企業」が56.4%で3カ月前から4.6ポイント増加、「中小企業」が47.2%で同3.5ポイント増加、中小企業のうち「小規模企業」は42.2%で同3.4ポイント増加した。

非正社員の過不足状況を聞くと、「不足」が31.9%で、3カ月前より2.5ポイント増加、1年前より4.7ポイント増加した。「適正」は61.7%で、「過剰」は6.4%だった。業種別に「不足」と回答した企業をみると、「飲食店」が80.5%で最も高く、以下、「飲食料品小売」(60.9%)、「人材派遣・紹介」(59.1%)、「メンテナンス・警備・検査」(55.2%)が続いた。企業の規模別にみると「大企業」が34.3%、「中小企業」が31.3%、中小企業のうち「小規模企業」が29.6%となった。

一方、東京商工リサーチは11月9日、10月の「人手不足関連倒産」について発表した。それによると、10月に発生した人手不足関連倒産は39件で前年同月の22件を上回り、調査を開始した2013年以降で最多件数を記録した。それまでの最高は2015年6月の38件だった。内訳をみると、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型が29件(前年同月17件)、中核社員の独立・転職で事業継続に支障が生じた「従業員退職」型が5件(同1件)、人材確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が4件(同3件)、賃金等の人件費のコストアップから収益が悪化した「人件費高騰」型が1件(同1件)だった。

また、1月から10月までの累計では、人手不足関連倒産が269件(前年同期270件)発生し、倒産件数が全体的に減少する中、ほぼ前年並みで推移している。また、「求人難」型の倒産は前年同期比121.4%増の31件(同14件)で、大幅に増加した。

企業の人手不足感が一段と増している中、求人難による倒産件数が増加しており、今後の動向が注目される。

大原孝治ドンキホーテHD社長が明かす、神保町店「スピード撤退」のなぜ

大原孝治ドンキホーテHD社長が明かす、神保町店「スピード撤退」のなぜ

ドン・キホーテの出店拡大が止まらない。11月22日には国内外のグループ店舗数400店を達成。2020年までの中期目標に掲げる500店まであと一息のところまできた。

ところで、今年10月、出店ではなく“閉店”が話題になった。舞台は東京・千代田区、古書店・学生街として有名な神田神保町に今年2月にオープンした「ドン・キホーテ神保町靖国通り店」。

同店は17年10月に閉店。わずか8か月でのスピード撤退は業界だけでなくネット上でも話題になった。その理由は、またなぜそれだけ早い決断が可能だったのか。ドンキホーテホールディングスの大原孝治 社長兼CEOに直接聞いてみた。
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ドンキホーテはオープンから2週間で閉店を決断 スピード撤退もダメージはゼロ

―― 17年2月にオープンした「ドン・キホーテ神保町靖国通り店」を10月に閉店しました。なぜこれだけ早い決断が下せたのですか。

大原 閉店のときはいつもこれくらいのスピード感です。神保町靖国通り店はオープンから2週間後には「これは失敗だ」と思い、結論を出しました。ただ閉店の手続きに8か月かかっただけです(笑)

―― 失敗だと判断した要因は。

大原 まず歩いている人がみんなネクタイを締めている。それに土日には人が少ない。すごく緊張している街なんです。ドン・キホーテはラフに買い物をする店舗ですから、歓楽街はめちゃくちゃ繁盛する。でも、オフィス街はまるでダメです。

実は僕にとってオフィス街への出店の失敗は2度目なんです。1回目は新橋の「ドン・キホーテ銀座ブランド館」(2004年5月〜2006年7月)で、こちらも神保町靖国通り店と同じく周辺に緊張感が漂っていました。男性はネクタイを着けていて、女性はハイヒールをはいている。みんな早足で、疲れている。ラフじゃないんです。

―― 仕事から解放されて、ちょっと一杯というサラリーマンも多そうなイメージですが。

大原 あと100m先まで歩いていけばそうなんですが、店舗があった場所はまだ仕事の話をしているエリア。「今日のミーティングさー」とかね。100m通り過ぎて、ようやく「一杯いく?」という話になるんです。そこも神保町靖国通り店と同じですね。

―― 閉店によるダメージは出店戦略に影響を与えないのでしょうか。

大原 神保町も新橋も所有物件なのでノーダメージです。われわれは不動産で損をしたことはありません。閉店したら不動産事業に転換すればよいので、即座に決断が下せるのです。所有物件に限らずダメージを負った閉店というのはこれまでありませんね。

ドンキホーテの積極展開・スピード撤退を可能にする三つのロジック

ドンキホーテホールディングスの2017年6月期(16年7月〜17年6月)の新規出店は32店舗、閉店が5店舗。「ドン・キホーテ」以外に「MEGAドン・キホーテ」「ピカソ」といった業態をもち、商圏やロケーションに沿った出店が可能であること、居抜き物件を中心に出店してコストを抑えていること、「個店主義」によって周辺の系列店と棲み分けていることなどが、積極出店を継続できる要因になっている。

今回の神保町靖国通り店スピード撤退も、出店に対して強力なロジックを構築しているドンキだからこそできた経営判断といえそうだ。

20歳年上の人妻との不倫の末のラブホ殺人 事件前、警察は容疑者の男を説得していた

20歳年上の人妻との不倫の末のラブホ殺人 事件前、警察は容疑者の男を説得していた

「首を絞めて殺害した」。

女性を殺害したとして殺人容疑で逮捕された男は、容疑を素直に認め、淡々と取り調べに応じているという。千葉県船橋市のラブホテルの一室で女性(51)の遺体が見つかった事件。明らかになったのは、31歳の男が20歳年上の人妻との逢瀬に対する未練を断ち切れず、交際関係を精算できなかった末の悲劇が浮かび上がる。

別れ話 事件が発覚したのは11月19日。被害者は、隣接する市川市に住む女性(51)で、一緒にチェックインした男の存在が浮かび上がるまで、時間は掛らなかった。殺人容疑で逮捕されたのは、女性の交際相手だった習志野市鷺沼の無職、安垣瑠威容疑者(31)だ。

事件の伏線はあった。この事件の約2週間以上前の同月3日、安垣容疑者の自宅付近で近所の住人から、「女性が叫んでいる声がする」と110番通報があった。県警習志野署員かけつけると、安垣容疑者と女性が交際をめぐる別れ話で口論になっていたという。

署員は2人を説得。すると2人とも、「縁を切る。もう会わない」と約束したという。署員が女性の家族に説明した上で、駆けつけた家族に女性を引き渡し、この日の騒ぎは収まった。

事件は、それからわずか約2週間後。2人は安垣容疑者の家から3キロ、女性の家からは約7キロの距離とちょうど間にあるホテルで再会し、安垣容疑者は凶行に及ぶことになる。

2人が会ってトラブルとなったのは、これが初めてではない。9月1日には女性が、「別れ話で男と口論になった」と習志野署に相談していた。

関係の清算を迫ったのは、夫のいる女性の方だった。安垣容疑者の自宅に署員が駆けつけ、「女性がもう会わないでほしいといっている」と伝え、このときは、同容疑者も警察官の説得に応じたらしい。10月25日、習志野署員が女性に確認したところ、「(安垣容疑者とは)一切関わっていない。わざわざすみません」と謝意を示したという。

だが、安垣容疑者は未練を断ち切れなかった。実際は二人は連絡をとっていた可能性が高く、悲劇へとつながっていく。

意気投合 20歳年上の人妻との不倫の末のラブホ殺人

安垣容疑者と、女性が出会ったのは昨年秋。最近よくあるようなSNSや共通の友人が紹介する飲み会ではなく、飲食店でたまたま居合わせて意気投合し、間もなく交際するようになったとみられる。

安垣容疑者と女性は、20歳も年齢が離れている。安垣容疑者は独身だが、女性には夫がいた。道ならぬ恋路のはずだが、交際はしばらく続いた。

互いの自宅周辺では、安垣容疑者、女性のいずれも、特に変わった話は聞こえてこない。安垣容疑者が住んでいたのは、単身者向けの2階建ての賃貸アパート。近所に住む70代の男性は「住民の入れ替わりも激しいし、近所づきあいもないが不審な人はいなかった」と証言する。一方、女性が住むアパートの近所の住民も、「普通の夫婦に見えた。トラブルは聞かない」(60代女性)と明かす。

人知れず交際は続いたが、1年ぐらいで雲行きが怪しくなってきた。今年9月以降は、別れをめぐってトラブルに発展。警察が間に入る事態になった。しかし県警は、ストーカー規制法に抵触し、警告を発出するような事態はなかったとみている。

犯行後、ホテルから車で去った安垣容疑者は県内で確保された。

安垣容疑者がなぜ、20歳も年上の被害女性と不倫関係に陥り、追い続けたのか。出会って約1年、被害女性が、安垣容疑者との関係の清算を切り出した転機は何か−今のところわかっていない。

ただ、別れ話をめぐるトラブルが続き、警察の仲介もあって関係を絶つと再三約束したのに、二人は再び会い、最悪の結末に至ってしまった。

「一蘭」摘発で業界の悲鳴…人気ラーメン店も外国人頼み

「一蘭」摘発で業界の悲鳴…人気ラーメン店も外国人頼み

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飲食店の人手不足問題

人気とんこつラーメン店「一蘭」が11月29日、大阪府警に“ガサ入れ”され、飲食業界関係者は戦々恐々だ。一蘭といえば、一人一人仕切られた「味集中カウンター」で知られる。

「きっかけは、一蘭の道頓堀店別館(大阪市中央区)でアルバイトをしていたベトナム人の女(29)です。5月に警察官から職務質問を受け、不法就労が発覚しました」(捜査事情通)

女は29日までに、入管難民法違反容疑で逮捕され、一蘭も同日、必要な届け出を怠っていた雇用対策法違反の疑いで福岡市博多区の本社などを家宅捜索された。一蘭は「事実関係を確認中でコメントできません」(広報担当者)としているが、急拡大のツケと見る向きもある。

「1993年の設立から年商も店舗数も右肩上がりで、13年度に100億円を突破し、16年度は174億円。10月時点で国内69店舗、海外4店舗という一大チェーンに成長しました。昨年10月には米NYに出店し、日本円で1杯2000円という価格でも話題に。有名ラーメン店の中でもインバウンド人気が高いですね」(調査会社関係者)

1月時点で社員数295人、アルバイト数5368人という大所帯だ。急拡大のひずみが生じても、不思議じゃない。

「逮捕されたベトナム人の女が働いていた道頓堀店別館では、アルバイトの基本時給が1200円以上、早朝1300円、深夜なら1500円で募集をかけている。それでも人が集まらない、人手が足りないから、外国人に頼らざるを得なかったのでしょう。飲食業界は外国人労働者抜きに回らない。一蘭に限らず、いずこも同じです」(外食チェーン関係者)

一蘭の吉冨学社長は、HPで「人間教育に力を入れ、コンプライアンスを重視」などと語っているが、そうも言っていられない店は多い。

「一蘭の“摘発”は一罰百戒の意味もあるのでしょうが、外国人労働者に対する締め付けが厳しくなって人手不足が加速すれば、これまで以上に人件費が高騰する。そのぶん材料費を削れば、客足が遠のく。立ち行かなくなる飲食店が激増する恐れがあります」(経済ジャーナリスト・岩波拓哉氏)

飲食業界全体にひずみが生じている。
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