新日本石油は26日、ガソリンなど石油製品の卸価格を10月1日から市場価格に連動させ、毎週改定すると発表した。これまで原油調達コストの変化に応じて毎月1回見直していたが、東京工業品取引所(TOCOM)の先物価格や民間調査会社の市況価格に応じて毎週改定する。市況の変化に応じ、小売価格も迅速に変更でき、原油価格の値下がり局面では消費者にもメリットがある。昭和シェル石油などは従来方式を継続するため、ガソリンの小売価格はどの系列の販売店かによって、これまで以上に違いが出る可能性がある。

 新日石の新方式は、前週木曜日〜水曜日までのTOCOMの先物価格などを元に、運送費などを上乗せして翌週の卸価格を決める。卸価格は毎週月曜日に改定される仕組み。出光興産も、10月からほぼ同様の方式を採用する。

 9月は原油価格が大幅に下落したため、新日石では従来方式の場合、10月1日からの卸価格は1リットル当たり前月比8・9円の値下げとなり、下落幅としては過去最大になるはずだったという。新方式で予想される卸価格については「市場価格に影響を与える可能性がある」(新日石の中村雅仁常務)として、明言を避けた。

 一方、昭和シェル石油とジャパンエナジーは毎月1回改定する従来方式を継続する。10月の卸価格は原油調達コストの減少によって値下げとなる見込み。

 石油情報センターによれば、22日時点のレギュラーガソリンの全国平均店頭価格は171・5円と8週連続で下落したが、10月以降は160円台半ばになる見通し。

 ただ、新方式と従来方式が混在することで、系列販売店間でも、価格差が生じる可能性がある。また、新方式では、TOCOMなどの市場価格が乱高下した場合、ガソリンの店頭価格も毎週、小刻みに変動する可能性があり、消費者にとっては混乱要因となりかねない。

 卸価格の変動幅の開示を出光は毎週木曜日に行う予定だが、新日石は改定後の月末1回だけにする方針。消費者の理解を得るには、一層の情報開示が求められそうだ。