社内託児所を開設する企業が増えている。9月1日、みずほフィナンシャルグループは東京・丸の内の本社内に社内託児所を開設。グループで2ヵ所目の託児施設となった。みずほFGのほかにも、2007年には井村屋製菓、石垣全日空ホテル&リゾートなどが社内託児所を設置している。

 グラフは事業所内託児施設の設置などを行う事業主や事業主団体に支払われた助成金の件数だ。2001年が15件に対して、2003年は24件、2007年は51件と近年急速な伸びをみせている。

 みずほフィナンシャルグループのような大企業だけでなく、中堅企業にも社内託児所開設は広がりをみせている。整理券発行器などバスの電装機器を取り扱うサプライヤー、レシップは2009年4月より社内託児所の運営を開始する。

「当社は2005年に上場したばかりで、従業員数もおよそ500名の企業です。今後、さらに成長していくには優秀な人材の確保が必要だと考えおります。特に、女性社員の確保、定着等は重要課題だと認識しており、開設を決定しました」と同社の広報。

 とはいえ、依然、社内託児所を開設する企業は大手が中心。

 助成金支給の要件には、安全、健全な保育環境を満たすため、子ども1人当たりの面積や保育士の数など、さまざまな事項が定められている。要件を満たす社内託児所を開設するには、建物の広さや採光など、しっかりとした施設でなければならない。加えて、運営には保育士の人件費などが発生する。

 要件を満たせば、中小企業事業主には設置に要した費用や運営に係る人件費に対して、最大2分の1に相当する金額が助成金として支払われる。が、半額は企業が負担することになる。従って、「どうしても一定規模以上の大手企業が多くなる」と、助成金の支給業務を担う21世紀職業財団は説明する。

 これまで順調に増え続けたきた社内託児所だが、景気にかげりが出てきた08年度も、「今のところ、感触として増加の傾向は変わっていない」(21世紀職業財団)という。今後、就労人口の減少が顕著になる中で、女性の人材確保に取り組む企業は確実に増えている。社内託児所の設置件数の増減は、そのひとつの指標でもある。