振り込め詐欺 押収された携帯電話の18%が架空契約

振り込め詐欺事件に使われたとして07年5月から半年間に全国で押収された携帯電話のうち18.3%が、契約者の特定できない「架空携帯」だったことが警察庁の調べで分かった。05年に携帯電話不正利用防止法が施行され、携帯電話事業者や販売代理店は契約・譲渡時に運転免許証などによる本人確認を義務付けられたが、徹底されていない実態が浮き彫りになった。振り込め詐欺被害は急増しており、新たな架空携帯対策が急務となっている。

 07年5〜10月に全国の警察で振り込め詐欺に使われ、押収された携帯電話285台のうち、契約時の状況が確認できたのは120台。このうち22台は、本人確認のための身分証明書が偽造・変造され、契約者が特定できない「架空携帯」だった。残り165台は契約関係が確認できないか、捜査が継続しているもので、携帯電話から容疑者を特定する困難さを示している。

 一方、同期間に押収された銀行口座657口座のうち、身分証明書の偽造・変造による架空名義のものは29口座(4.4%)だった。

 警察庁幹部は「銀行口座に比べ、携帯電話については販売店窓口などでの本人確認が難しい。架空携帯は振り込め以外の犯罪に使用される恐れもあり、本人確認のための新たな手法の検討が必要だ」と話す。携帯電話事業者団体「電気通信事業者協会」(TCA)に対し、販売後に配達記録郵便を送り、確認できなければ契約を打ち切るなど新たな手法の導入を求めているが、コストがかかり過ぎるなどの理由でいまだに結論が出ていない。

 同協会は「違法購入をした人物情報を業者間で共有するなど、いくつかの対策を年度内に始めることが決まっている。他の対策は各事業者間で検討している段階」などと説明している。

 振り込め詐欺は、今年1〜8月の被害総額が約213億円(前年同期約150億円)に上るなど深刻化している