三重にあるショッピングセンターの飲料・食用受水槽に、自殺男性の遺体が約1カ月間浮いていた一件をめぐる騒ぎが収まらない。

 店内には76の飲食店があり、受水槽の水は遺体発見までの1カ月間、飲食用に使われていた。
 地元紙が報じたことで急きょ29日に営業を停止したが、少なくとも約1万人が水を口に含んだと推定される。

 店には問い合わせが殺到したが、「検査の結果、基準に適合。ウイルス問題もなかった」として営業再開。
しかし、遺体が浮いていた1カ月間の言及はなく、管理体制への不信感も増幅。海外では「死体水」と報じられ店側もホームページ上の「お問い合わせ」項目を削除するなど、騒ぎは拡大し続けている。

 安全性はどうなのか。数々の水死体を扱ってきた元警視庁捜査一課長の田宮栄一氏は
 「長期間、水につかった遺体の腐敗は深刻。遺体の一部や糞尿、体液は確実に水に溶け出している」と推測。「裸の水死体の場合、遺体がゲル状に溶け出すことも考えられるが今回は服を着用し、受水槽内の水も毎日循環している。じわじわ溶け出していったのではないか。直接人体に影響があるとは考えにくいが、精神的な被害は甚大」一方「ウイルスやバクテリアは確実に水に溶け出すので、男性が病気を持っていたら、間違いなく大事になっていた」と話すのは、人獣共通感染症の専門家、源宣之・岐阜大名誉教授。

「受水槽は水温も10度程に保たれていたはず。ウイルスやバクテリアが死滅する環境ではなく、


遺体から緑濃菌や大腸菌が溶け出していたら、老人や臓器移植者が日和見感染する危険も高かった。ただ現在まで健康被害が出てないのなら、結果論だが人体には危険はなかったのだろう」とはいえ、「結果論」で周辺住民の不安を払拭することはできない。元厚生省公衆衛生局長の大谷藤郎氏は、「保健所が安全宣言したのなら、ひとまずは安全に間違いないだろう。しかし被害者がまだ納得していないのなら、検査プロセスや詳細な結果を公表、説明する必要がある」と嵐が過ぎるの待つような店と保健所の姿勢にクギを刺している