超デフレ突入勝ち組17社

●体力勝負で倒産激増の恐れも

 値下げ合戦が止まらない。スーパー大手のイオンが驚きの「反省広告」を打ち出し、食料品や日用品、衣料品など5000品目以上も値下げしている。ライバルのセブン&アイも、プライベートブランド(PB)を中心に傘下のイトーヨーカ堂で約2600品目の値下げを断行した。
 さらに百貨店の高島屋が「デパ地下」で販売するパンを最大1割安くする。コンビニのミニストップもイオンのPB「トップバリュ」約100品目を最大3割値下げだ。
 帝国データバンクの中森貴和氏が言う。
「生死を懸けた消耗戦に突入したとみるべきです。体力のある大手企業は、今後も顧客獲得のため、値下げ幅を拡大させていくでしょう。しかし体力のない企業は、値下げ競争についていけず、売り上げが大きく落ち込むことになります。実体経済が悪化する中でのデフレ進行ですから、倒産激増の恐れは高まっています」
 小売りを中心に「1強時代」に入ったという見方が株式マーケットでは広がっている。SMBCフレンド証券ストラテジストの中西文行氏も言う。
「ユニクロ(ファーストリテイリング)や家具のニトリ、日本マクドナルドが1強で、共通しているのは、手ごろな価格でありながら『そこにしかない商品』を持つ強さです。靴のABCマート、吉野家、ゼンショー(すき家)、婦人服のしまむらも健闘しています。その他、軽自動車のスズキやダイハツ、ETC効果が加わって売り上げ増のオートバックスセブンもデフレに強い銘柄として注目です」
 ユニクロの3月売上高(既存店)は、前年同月比7.9%増。カジュアル衣料のライトオンやジーンズメイトが2ケタ減だったから、ユニクロの独り勝ちだ。外食では「餃子の王将」(王将フードサービス)が14.5%増、日本マクドナルドは1.3%増(2月)、吉野家も1.5%増(2月)と売り上げを伸ばしている。ラーメン店も踏ん張った。日高屋(ハイデイ日高)の3月全店売上高は14.7%増、幸楽苑も4%増だ。
「極端な低価格志向で袋麺の人気が高いので、日清食品や東洋水産も注目です」(前出の中西氏)
 100円コンビニ「ローソンストア100」も勝ち組だ。コンビニの1日あたりの売上高は50万円弱といわれるが「ストア100」は、「60万円近くまで高まった」(ローソン関係者)。
 行き過ぎた値下げ合戦は自らの首を絞めかねない。超デフレ時代の勝ち組といえども、注意深く見守ったほうがいい。

デフレ「勝ち組」17社

◇社名/株価/年初来高値/年初来安値
◆セブン&アイHD/2、180/3、120/1、901
◆ファーストリテイリング/11、110/13、870/8、870
◆ニトリ/5、510/7、110/4、750
◆日本マクドナルド/1、670/1、858/1、626
◆エービーシー・マート/1、832/3、320/1、701
◆吉野家HD/108、800/114、500/100、700
◆ゼンショー/476/540/430
◆しまむら/5、370/7、090/4、600
◆スズキ/1、853/1、947/1、156
◆ダイハツ工業/821/880/685
◆オートバックスセブン/2、750/2、915/2、005
◆王将フードサービス/1、492/1、600/1、460
◆ハイデイ日高/936/1、198/888
◆幸楽苑/1、119/1、221/1、115
◆日清食品HD/2、825/3、230/2、760
◆東洋水産/2、075/2、610/1、974
◆ローソン/3、740/5、240/3、580