パチンコ店放火 多数の客に向けガソリンまく 防犯映像に

パチンコ店放火 多数の客に向けガソリンまく 防犯映像に大阪市此花区のパチンコ店「cross(クロス)−ニコニコ」が放火され、23人が死傷した事件で、店内の防犯ビデオに、殺人容疑などで逮捕された無職、高見素直(すなお)容疑者(41)が手袋をしてバケツに入れたガソリンを多数の客のいる遠方にまき散らす姿が映っていたことが、捜査関係者への取材で分かった。大阪府警此花署捜査本部は「大量殺人を狙った」とする供述を裏付ける行為とみている。手袋は、ガソリンの扱いに慣れた高見容疑者がやけどを避けるために用意したとみて調べている。

 捜査関係者によると、高見容疑者は5日午後4時10分ごろ、パチンコ店の南東側出入り口から侵入。防犯ビデオには、入店した高見容疑者がいきなり、バケツのガソリンを遠方に向けてぶちまけたうえ、バケツを捨てて火を付けたマッチを放り投げ、南西側出入り口方向へ走り去る姿が映っていたという。

 火は猛烈な勢いで店内に広がり、4人が逃げ遅れて死亡、19人が重軽傷を負ったが、高見容疑者にけがはなかった。高見容疑者は危険物取扱者の国家資格を持ち、燃料運搬の仕事などでガソリンの扱いに慣れていたとみられている。

 一方、高見容疑者が勤めていた此花区のガソリンスタンドによると、先月初め、女性事務員が未払い給料の振り込みの件で電話した際、「失業保険の給付が切れて、仕事が見つからない。困っている」と沈んだ声で話した。高見容疑者は「仕事も金もなく、人生に嫌気がさした。死刑になってもかまわないと思ってやった」と供述しているという。