玄界灘にウニ大量発生、アワビ・サザエ激減

20091219-00000501-yom-soci-view-000福岡県沖の玄界灘で離島を中心にウニが大量発生して海藻を食べ尽くしていることが、県水産海洋技術センター(福岡市西区)の調査でわかった。

 海藻の奪い合いになるほど数が増えているため身がやせていて食用にならない上、海藻を餌にするアワビやサザエも育たなくなっている。漁業者が除去しているが、原因も根本的な解決策もわからず困り果てている。

 センターによると、大量発生しているのはガンガゼ類やムラサキウニ。特にガンガゼ類は、本州中部以南の太平洋側を中心に生息するウニで福岡県ではあまり見られなかった。

 玄界島(同区)、大島(宗像市)、地島(じのしま)(同)、姫島(志摩町)、相島(あいのしま)(新宮町)などの沿岸で確認された。いずれの島でも風や波が穏やかな南側の一部で大量発生している。

 漁業者から「見かけないウニがいる」との連絡を受け、センターが初めて確認したのは約9年前。磯は海藻が食べ尽くされ、岩とウニだけになっていた。その後も大量発生している場所は増加傾向にある。海藻がよく育つ冬から春先にかけて一時的に回復したこともあるが基本的には藻場が育たない状態が続いている。

 この影響で同じように海藻を食べて育つアワビやサザエが激減した。特に顕著な大島では資源を守る目的で毎年一定量しか採取しないため、漁獲高は10年前と変わらないが、アワビやサザエの数は確実に減っているという。アワビやサザエは、ウニに比べてダメージを受けやすいためだが、ウニも食用となる部分がほとんどなく、やせている。

 原因は不明だが、センターは「気候変動による海水温の上昇など生態系のバランスに何らかの変化が起きているからでは」と推測する。これまでの調査で、多いところで1平方メートル当たり5個生息しているウニが3個以下になると、藻場が回復したケースがあった。

 漁業振興の調査研究を行うセンターの浜田弘之・浅海増殖課長(47)は「対症療法を徹底するしかない」としており、大量発生したウニは海中でつぶしたり、陸に揚げたりして除去するよう沿岸の漁業者に呼びかけている。

 糸島漁協姫島支所は2007年から除去に取り組み、今年は7、11月に計3回実施した。吉村満支所長(49)は「ウニは岩がつるつるになるまで海藻を食べ尽くす厄介者。仕事を休んででも地道に除去するしかない」と話している。