神奈川県 全面禁煙、利用客に好評…屋内規制の条例1カ月

20100501-00000005-maip-soci-view-000全国で初めて民間を含む屋内施設での喫煙を規制する神奈川県の受動喫煙防止条例は、1日で施行から1カ月が過ぎた。全面禁煙に踏み切った飲食店の中には、客足が遠のくことを心配していた店もあったが、利用客からは好評。一方、規制が努力義務にとどまる小規模店では、愛煙家を呼び込もうと、あえて「喫煙可」をPRする店も現れた。

 長崎ちゃんぽんを中心にチェーン店を展開する「リンガーハット」(東京都大田区)は、条例施行の4月1日以降、県内55店舗すべてで全面禁煙とし、店内の灰皿を撤去した。

 同社は02年の健康増進法制定を受け全国の店舗で全面禁煙を実施したが、売り上げが減少。約1年で禁煙を解除した苦い経験がある。

 しかし今回は禁煙に伴う苦情は寄せられておらず、売り上げも落ちていないといい、広報担当者は「受動喫煙を防止しようという環境が整い、理解も進んだ」と胸をなで下ろす。横浜伊勢佐木モール店(横浜市中区)で食事をした近くの主婦(55)は「においが服につくのが嫌だったので、禁煙になって良かった」と歓迎。同社は他地域にも禁煙店舗を拡大することを検討している。

 一方、横浜市西区のJR横浜駅近くの喫茶店。小規模店で罰則の適用はなく、店頭に「全席タバコ終日OK」と手書きしたホワイトボードを掲げる。男性店長によると、条例施行前の3月、客から喫煙が可能かを確認される機会が増えたために始めたといい、「今のところ禁煙にする予定はない」。ただ4月以降、客が増えているわけではないという。

 同条例は、学校や病院など(第1種施設)は禁煙、大規模な飲食店など(第2種施設)は禁煙か分煙かを選択し、入り口に表示するよう施設側に義務づける。禁煙区域で吸った人には過料2000円、規制措置を取らなかった施設管理者には同2万円が科される(第2種への適用は来年4月以降)。この1カ月で罰則が適用された事例はなく、県の担当者は「大きな混乱はなく、今後も理解を求めたい」と話している。