山崎前社長に禁錮3年求刑=検察側「過失明らか」―福知山線脱線事故・神戸地裁

兵庫県尼崎市で2005年4月、乗客106人が死亡したJR福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷罪に問われたJR西日本前社長山崎正夫被告(68)の論告求刑公判が29日、神戸地裁(岡田信裁判長)であった。検察側は自動列車停止装置(ATS)に関する旧国鉄やJR西の資料、関係者の証言などから、「万全の対策を講じる立場だった被告の過失は明らかだ」と改めて主張。山崎被告に禁錮3年を求刑した。
 また検察側は、法廷での山崎被告の主張に対し、「罪を免れようとする態度が露骨で信用できない」と厳しく批判した。
 公判は、事故が起きたカーブの危険性を山崎被告が認識しながら、ATSの整備を怠ったかどうかが最大の争点。
 検察側は論告で、ATSを現場カーブに設置していれば確実に事故を防げたと指摘。山崎被告は現場のカーブをきつくする工事が行われた1996年当時、安全対策の実質的最高責任者の鉄道本部長として、現場の危険性を容易に認識できたのに、安全対策を怠ったと主張した。
 危険性を予測できた根拠として、96年12月に起きたJR函館線の貨物列車脱線事故について、山崎被告がATSで防げた事故例として報告を受けていたことを挙げた。