ヤマダ電機、住宅メーカーのエス・バイ・エルにTOB

ヤマダ電機は12日、中堅住宅メーカーのエス・バイ・エル(大阪市)に対し、連結子会社化を目的に株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。エス・バイ・エルと同社の筆頭株主である投資ファンドはTOBへの賛意を表明。買収価格は52億円で、あわせて同社が実施する第三者割当増資にも応じる。ヤマダの出資比率は最大で59.1%になる。

 買収により、ヤマダは太陽光発電パネルや省エネ性能の高い家電を組み合わせた次世代型の家を提案する「スマートハウス」事業の展開を加速させる。

 これまで、中古住宅に太陽光発電装置を設置して家庭内をオール電化にするなどの事業を試験的に進めてきたが、展開スピードを上げるには新築住宅を手がける住宅メーカーの買収が急務と判断した。

 同日会見したヤマダの山田昇CEO(最高経営責任者)は「家電量販店として究極のソリューションサービスは住宅丸ごとで提案することだ」と述べた。

 3月の東日本大震災による電力不足で全国的に省エネ意識が高まったことも追い風になったという。

 エス・バイ・エルは1951年創業の老舗住宅メーカーで、昨年からは自然エネルギーを活用した住宅建設に取り組んでいる。買収後は、ヤマダの店舗にエス・バイ・エルのモデルハウスを設置し、省エネ家電や電気自動車(EV)などを組み合わせた生活スタイルを提案。エス・バイ・エルがこれまで販売した住宅の購入者に対してもリフォームなどを勧めていく。

 買い付け期間は15日から10月4日で、1株当たりの買い付け価格は62円。買収後もエス・バイ・エルの上場を維持するため、買い付け予定株数の上限は8500万株、下限は6740万株とした。