「幹事長」めぐり駆け引き=前原、小沢氏の折り合い困難か−民主代表選

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民主党代表選への出馬を表明している前原誠司前外相と、前原氏から支援を要請された小沢一郎元代表が新政権の人事をめぐり、駆け引きを活発化させている。焦点は党のカネと人事を握る幹事長ポストだ。小沢氏側は幹事長ポストを明け渡すことが支援の必須条件ととらえているが、前原氏はここで譲れば実権を奪われ、「小沢院政」になりかねないと警戒。双方が一致点を見いだすことは難しい状況だ。

「要は幹事長ポストで折り合いがつくかどうかだ。政策なんてどうでもいい」。小沢氏周辺は前原氏支援の条件について、露骨にポストを要求してみせた。

民主党幹事長は、国政選挙の公認権を握り、年額170億円近い政党交付金を配分する権限も持つ。菅直人首相が敷いた「脱小沢」路線とは、小沢氏にカネと人事に触らせないことだった。
 前原氏が勝利した2005年9月の代表選では、小沢氏が幹事長就任を条件に支援を申し出て、前原氏が拒否した経緯がある。今回も同じ構図だが、小沢氏は党員資格停止中のため、新執行部で即時に役職に就くことはできず、自らの息が掛かった人物を幹事長に据えようとしているとみられる。

小沢氏の意を酌む鳩山由紀夫前首相は、前原氏と会談して以来、同氏の言う「挙党一致」と「挙党態勢」の違いにこだわっている。25日の自身のグループ会合でも「二つの言葉が必ずしも同じように使われていない。われわれが望むのは挙党態勢だ」と力説した。鳩山氏の言う「挙党態勢」とは、菅政権を支えてきた「主流派」からの幹事長ポスト奪還を指しているとみられる。

これに対し、前原氏は同日の有志議員との勉強会で「全員野球のために大事なことは、ただ一点、政策調査会機能をどうするかだ」と強調し、鳩山氏の要求を事実上無視した。前原氏周辺は「向こうが欲しいのは幹事長ポストだろうが、乗れる話と乗れない話がある」と譲る気配はない。
 各種世論調査では、菅政権で「脱小沢」路線を主導した前原氏の支持が他を圧倒しているが、小沢氏にひれ伏したと映れば、前原氏への期待がしぼむのは確実。前原氏が人事で妥協する見通しはなく、小沢氏周辺では「前原氏支援はない」(若手)との声が強まっている。