日航社長に植木氏が昇格=稲盛氏は名誉会長に―再上場に向け新体制

経営再建中の日本航空は17日、植木義晴専務執行役員(59)が2月上旬めどの臨時株主総会後に社長に昇格する人事を発表した。大西賢社長(56)は会長に、稲盛和夫会長(79)は代表権を持たない名誉会長にそれぞれ就く。日航は2年前に経営破綻し、企業再生支援機構の支援下で9月にも再上場を目指している。人件費の削減や不採算路線の撤退などで収益が向上し、再建の道筋が付いたと判断、再上場に向け経営体制を一新する。
 記者会見した稲盛氏は、植木氏を社長に選んだ理由について「部門別採算制度を積極的に進め、リーダーとしての資質を持つ」ことを挙げた。植木氏は「過去の日航の経営をよく知らない。そこを振り返ることはない。稲盛会長に教えてもらったことがすべて私の力となる」と述べ、稲盛流の経営改革を受け継ぐ考えを強調した。
 機構は2013年1月までに日航支援を終える予定。日航再建を主導してきた稲盛氏は名誉会長職を13年2月に退く意向を示しており、日航生え抜き中心の経営陣への移行が始まった形だ。
 今回の人事では、機構から派遣されていた2人の取締役が退任。代わりに、社外取締役として元最高裁判所判事の甲斐中辰夫弁護士(72)が新たに就任する。
 植木氏は35年間パイロットとして勤務。稲盛氏が日航会長に就任した10年2月に執行役員に抜てきされ、経営に参画。現在は路線別の収支管理や新規路線の開設などを担当する。パイロット出身の社長は日航では初めて。