尼崎ドラム缶遺体 殺人容疑4人再逮捕 家族分断し支配

兵庫県尼崎市の貸倉庫で昨年11月、無職の大江和子さん(当時66歳)=同市長洲東通3=の遺体がドラム缶にコンクリート詰めにされて見つかった事件で、県警尼崎東署捜査本部は8日、死体遺棄罪などで起訴された大江さんの次女の元夫ら4被告を殺人と監禁の両容疑で再逮捕した。

 逮捕されたのは、大江さんの長女香愛(かえ)=43▽次女裕美=41▽次女の元夫、川村博之=42▽川村容疑者の知人の無職、角田美代子=63−−の4容疑者。容疑は、共謀して昨年7〜9月、同市内のワンルームマンションに大江さんを閉じ込め、食事を与えないなど衰弱させたうえ、暴行して殺害した、とされる。

 角田容疑者は「身に覚えがない」と供述、他の3容疑者も殺意を否認しているという。和子さんは当時、角田容疑者を除く3人と川村容疑者の子ども2人の計6人でワンルームマンションで暮らしていた。

 4人は昨年12月、角田容疑者の親族の李正則被告(37)とともに、大江さんの遺体を貸倉庫に運んで遺棄したとして死体遺棄罪などで起訴されていた。川村、角田両容疑者は香愛容疑者に対する傷害罪などでも起訴されている。

◇「小さな『恩』を積み重ね逆らえないようにした」

 「人生が開けた」。捜査関係者によると、川村容疑者は調べに対し、角田容疑者との出会いについてこう表現したという。

 川村容疑者は09年春、長年勤務した鉄道会社を突然退職。元妻の裕美容疑者の同級生らに「おいしいコーヒーをいれる喫茶店をやる」と説明していた。

 しかし、捜査関係者などによると、開店資金となるはずの約900万円の退職金の一部や消費者金融からの借金数百万円は角田容疑者に渡っていた。退職の際には、角田容疑者が川村容疑者の会社に乗り込み、「なんで辞めさせへんねん」などと担当者に詰め寄ったという。退職、裕美容疑者との離婚、2世帯住宅からワンルームマンションへの転居などはいずれも、角田容疑者の進言を受けてのものだったという。

 しかし、和子さんだけは服従しなかった。「一緒に暮らしていけない」と、一時は東京の親戚宅に移ったが、昨年6月に呼び戻された。和子さんは先代から相続した尼崎市内の2世帯住宅の所有権を持っており、周辺の不動産業者によると、土地・建物の売値は計2000万円ほどという。

 捜査関係者によると、角田容疑者は川村容疑者の子どもと養子縁組し、財産などを管理できる法定代理人になる計画も立てていたという。捜査本部は、土地・建物の譲渡が監禁、暴行の背景にあるとの見方を強めている。

 角田、川村両容疑者の関係について、ある関係者は「会社を辞める手伝いなど、小さな『恩』を積み重ねる形で逆らえないようにしたのでは」と指摘。捜査員の一人は「社会とのつながりや家族関係を分断して、精神的支配を強めていった」と話す。一方、角田容疑者は主体的関与について一貫して否定しているという。
尼崎事件 角田美代子