中国、党大会控え権力闘争 共青団VS太子党

■“亡命”事件…重慶市公安トップに胡錦濤派

中国中南部の重慶市の公安局トップに胡錦濤総書記(国家主席)直系の共産主義青年団(共青団)出身者が就任したことが注目されている。重慶市は、胡錦濤派と競合する元高級幹部子弟で構成する太子党グループの強い影響下にあり、重慶市の重要ポストを胡派が獲得したことは、同派が水面下の勢力争いで大きくリードしたことを意味する。今回の人事は、秋の中国共産党大会後に発足する太子党の習近平政権の求心力に影響を与える可能性がある。

 中国各紙によると、重慶市江津区の関海祥党委書記(42)が17日までに、同市の公安局党委書記に任命された。前任者は6日に米国の総領事館を訪問し亡命を求めたとみられる王立軍重慶市副市長だ。現在、王氏は当局に拘束され、北京で取り調べを受けている。

追われる薄氏

王氏は、同市を牛耳る太子党の中心的人物、薄煕来党委書記の腹心。経済問題で党中央規律検査委員会の調査を受け、訴追される危機感をもったことが米総領事館に駆け込んだ原因とみられるが、王氏を追い詰めたのは、その後ろ盾だった薄氏を追い落とそうとする共青団関係者との見方もある。

 薄氏は2007年に重慶に赴任してから、胡政権が主張する「調和のとれた社会の実現」と一線を画し、文化大革命を連想させる毛沢東を賛美するキャンペーンを展開した。その保守色の強い政治手法に胡主席は不快感を抱いていたとされる。

 今回の王氏の事件は薄氏の政治基盤に大きなダメージを与えたようだ。事件後、地元メディアでも薄氏に関する報道は一時消えた。今も党中央がコントロールしているとみられる。

盟友失う習氏

新しく同市公安局のトップとなった関氏は、2年ほど前まで北京の共青団中央に勤務し、共青団で人事を担当する組織部副部長などの要職を歴任した同派の若手ホープとされる。この人事は今後、薄氏が解任された場合、胡錦濤派が重慶市を握る布石とみられ、薄氏の後任には元共青団第1書記の周強湖南省党委書記らの名前が挙がっている。

 共産党筋は、秋の党大会での薄氏の最高指導部入りは「厳しい情勢となった」と指摘。「薄氏が失脚しなくても、影響力をほとんど失うだろう。習近平氏は政権発足の前に、重要な盟友を失ったといえる。胡錦濤派の影響力は今回の事件で強化された」(同筋)と分析している。