公民館屋上の観光バス撤去へ=震災1年を前に―宮城・石巻

20120310-00000013-jijp-000-0-view東日本大震災の津波で流され、宮城県石巻市の雄勝公民館の屋上に残されたままになっていた観光バスが10日午前、撤去された。震災の爪痕として後世に残すべきだとの意見もあったが、市は「悲惨な記憶を呼び起こす」という住民の声を尊重し、撤去を決めた。
 午前10時すぎ、クレーンにつるされた約17トンのバスがゆっくりと持ち上げられ、5分ほどで地面に降ろされた。
 雪の中、作業を見守っていた所有者の南三陸観光バス(同市)の高橋武彦社長(61)は、「観光バスはすべて流され、形が残っていたのはこれだけだった。『お疲れさま』と声を掛けたい」と話した。バスは災害廃棄物として解体される。
 このバスは昨年3月11日、約200メートル離れた同社の駐車場から流され、高さ約10メートルの雄勝公民館の屋上に乗り上げた。
 保存を求める声もあったが、市が住民の意向を確認したところ、「津波を思い出す」「見たくない」との声が多く寄せられたという。