3人に死刑執行 1年8か月ぶり

平成11年に山口県のJR下関駅で5人を殺害したなどとして、殺人などの罪で死刑が確定していた死刑囚など3人に、29日朝、死刑が執行されました。
死刑が執行されたのは、おととし7月以来、1年8か月ぶりです。

小川法務大臣は、29日午前11時から法務省で記者会見し、3人の死刑囚の刑の執行を命じ、29日朝、3人の死刑が執行されたことを明らかにしました。
それによりますと、死刑が執行されたのは、平成11年に山口県のJR下関駅の建物に車で突っ込み、居合わせた人をはねたり包丁で切りつけたりして5人を殺害し、10人に重軽傷を負わせたとして、殺人などの罪で刑が確定した、広島拘置所の上部康明死刑囚(48)です。
このほか、平成13年に宮崎県で女性2人を殺害して現金を奪ったとして、強盗殺人などの罪で刑が確定していた福岡拘置所の松田康敏死刑囚(44)と、平成14年に横浜市で離婚の協議中だった妻の実家に押し入り、妻の両親と中学生だった息子の3人を殺害して殺人などの罪で刑が確定していた東京拘置所の古澤友幸死刑囚(46)も死刑が執行されました。
死刑が執行されのは、おととし7月以来、1年8か月ぶりです。
民主党政権では、おととしの7月下旬、2人の死刑囚に対して、死刑が執行されましたが、その後は、江田元法務大臣や平岡前法務大臣が死刑の執行に慎重な姿勢だったこともあり、去年は19年ぶりに1件も行われていませんでした。

死刑執行‐小川法相“職責果たすべきと考えた”

小川法務大臣は、記者会見で、「世論調査で大半の人が死刑を支持していることや、法律の規定などから、職責を果たすことが大臣としての務めだと考えて3人の刑を執行した」と述べました。
また、小川大臣は、おととし7月以降、死刑が執行されていなかったことについては、「それぞれの大臣が考えてのことなので、私が論評すべきことではない」と述べました。

死刑執行‐死刑囚は過去最多130人余に

死刑が執行されるのは、おととし7月に当時の千葉法務大臣が2人の死刑囚の刑を執行して以来で、その後、1年8か月間、刑の執行が行われないなかで裁判で死刑が確定した被告は31人に上りました。
その結果、全国の拘置所にいる死刑囚は、オウム真理教の麻原彰晃、本名松本智津夫死刑囚(57)や奈良県で小学生の女の子を殺害した罪に問われた小林薫死刑囚(43)など28日までに135人に上り、最も多くなっていました。

死刑執行‐“当然の職責”犯罪被害者の会

3人の死刑が執行されたことについて、「全国犯罪被害者の会」の代表幹事代行の松村恒夫さんは「法務大臣としての当然の職責を果たしたものだ。確定死刑囚が130人を超える事態は異常なものであり、粛々と執行すべきだ」と話しています。

死刑執行‐“強く抗議したい”日弁連

3人の死刑が執行されたことについて、日弁連=日本弁護士連合会の宇都宮健児会長は、「日弁連として先月、小川法務大臣に死刑の執行停止を要請していたばかりで、社会的な議論も尽くされないまま、執行を再開したことは極めて遺憾で強く抗議する。執行を停止したうえで、直ちに国民的な議論を行うべきだ」という声明を出しました。