スマホ向け半導体が不足 富士通とドコモ、NECが手を組み供給

富士通とNTTドコモ、NECが1日、共同出資会社を設立してスマートフォン(高機能携帯電話)の中核部品である通信制御用半導体の開発、製造に乗り出すと発表した。スマホ販売台数の世界的な急拡大に伴って、通信制御用半導体は供給不足が生じており、3社が手を組んで安定的な調達を図る。

 富士通が無線技術の開発部門を分社化して1日に設立した新会社「アクセスネットワークテクノロジ」(川崎市高津区、資本金5280万円)が、8月中に1億円の増資を実施。増資後の出資比率を富士通52.8%、ドコモ19.9%、NEC17.8%、富士通セミコンダクタ9.5%とする。

 共同出資会社では、高速通信サービスの「LTE」向け半導体のほか、次世代高速通信向けの半導体開発も進める方針。出資母体各社の本体から開発部門を切り離して製品化のスピードを速め、生産は国内外の半導体メーカーに委託する。

 今後、海外の携帯メーカーへの供給も視野に入れ、コスト競争力の向上を図る。

 スマホ向けの通信制御用半導体は、現行の第3世代携帯の基礎技術を保有する米クアルコムが、世界シェアの7〜8割を握っている。世界的に品薄状態が続き、「部品不足のため新機種の発売スケジュールに影響が出る事態」(メーカー関係者)も生じていた。

 このため、昨年12月にはドコモと富士通、NEC、韓国サムスン電子などが合弁会社の設立計画を公表したが、特許公開に関する条件が折り合わず、中止された経緯もある。