攻撃性と力誇示…尼崎事件の角田被告周辺証言

20121020-00000019-asahi-000-2-view兵庫県尼崎市で無職女性(当時66歳)の遺体がコンクリート詰めで見つかった昨年11月の「ドラム缶遺体事件」は、その後の捜査で今月、新たに3人の遺体が見つかる連続遺体遺棄事件へと発展した。

 民家の捜索着手から20日で1週間。なお別に3人が殺され、遺棄されたと疑われる異常な事態解明の鍵を握るのは、ドラム缶遺体事件の主犯格とされる角田(すみだ)美代子被告(64)(傷害致死罪などで起訴)だ。角田被告とはどんな人物なのか。これだけ多数の死者や行方不明者が出るのを、社会はなぜ防げなかったのか。

中学時代

角田被告の生い立ちや過去を知る親族などの証言からは、多数の他人と同居を繰り返す特異な生活ぶりや、攻撃的で酷薄な性格が浮かび上がる。

 角田被告は、尼崎市で建設業を営んでいた両親の長女に生まれた。地元の小中学校に通ったが、中学の同窓生によると、ほとんど登校せず、たまに現れると、教室で気に入らない女子生徒につかみかかるなどけんかばかりしていたという。

 同窓生は「子分を連れて周囲をにらみながら歩いていた」と振り返る。卒業後は私立女子高へ進んだが、1学期のうちに退学した。

 22歳の時、市内の繁華街でスナックを始める。客に愛嬌(あいきょう)を振りまく一方で、私生活では周囲とのトラブルが絶えなかった。駐車違反の取り締まりを受けては、「警察にチクったやろ」と近隣住民に因縁をつけ、執拗(しつよう)に謝罪を求めた。

 結婚、離婚を経て知人のつてで横浜市へ移り、ラウンジを経営。30歳代後半で地元に戻り、再婚相手や子供、義妹の三枝子被告(59)(窃盗罪で起訴)と尼崎市長洲東通の賃貸マンションで暮らすようになる。

 しかし、ここでもトラブルメーカーぶりは変わらなかった。

 「車の止め方が悪い。説明しに来い」。マンションでの駐車方法を巡って所有者を呼びつけ、子供同士のけんかがあれば、相手の家にどなり込んだ。

集団生活

やがてマンションの部屋には、家族以外の高齢女性や若い男女も同居し始め、別の階にも2部屋を借りて、十数人が奇妙な集団生活を送るようになる。

 同居人には命令口調で、夫も呼び捨てにした。角田被告が外出する際には、同居人全員が外廊下に並んで見送る光景も見られた。当時の住人は「気味悪かったが、面倒に巻き込まれるのが嫌で誰も近づこうとしなかった」と明かす。

 50歳代半ばになり、角田被告は同居人らとともに約150メートル離れた分譲マンションへと引っ越した。3年前、その部屋に招かれた知人男性(40)がいる。

 「あれだけで2億円や」。角田被告は居間のショーケースを指して自慢したという。中には高級グラスやクリスタル製の装飾品などがずらり。室内には外国製高級家具も並び、角田被告は「貿易の仕事でもうけた」と説明した。ただ、約4時間の滞在中、部屋の隅に男2人が直立不動で立ちつくす姿が不気味だったという。

 角田被告から同居人への暴行を指示されたことがあるという兵庫県内の50歳代の男性は「(角田被告は)金への執着が異常に強く、同居人らの通帳を管理していた。マンションや高級品にもその金を使ったに違いない」と話した。

 県警は、事件の全容解明には角田被告を頂点とした集団生活の背景や実態の把握が不可欠とみているが、角田被告は一切、語ろうとはしないという。
尼崎事件 角田美代子