男性被告に逆転無罪=少女暴行差し戻し後控訴審―福岡高裁

乗用車内で少女に暴行したとして、強姦(ごうかん)罪に問われた北代貴之被告(28)の差し戻し後控訴審の判決が31日、福岡高裁であった。陶山博生裁判長は「一審判決には明らかな事実誤認がある」と述べ、懲役3年6月とした福岡地裁判決を破棄し、逆転無罪を言い渡した。
 この事件では、福岡地裁飯塚支部が2009年9月に実刑判決を言い渡したが、福岡高裁は翌年、「審理が尽くされていない」と破棄。今年1月の差し戻し審判決で福岡地裁は、北代被告と同様に義足をつけた別の男性による検証結果などから「犯行は可能だった」として、再び実刑を言い渡していた。
 陶山裁判長は、差し戻し審での検証結果について「座席の位置や背もたれの角度などの検証を怠った」と指摘。「写真鑑定などの客観的な判断方法をとらず、目視のみに基づいて評価した」との弁護側の主張を認めた。その上で「被害者の供述は不自然で、義足の被告が被害者の供述通りの動作を行うことは不可能」と結論付けた。
 北代被告は07年11月、福岡県飯塚市で、駐車した車の後部座席で当時14歳の少女に性的暴行を加えたとして起訴されたが、捜査段階から一貫して否認していた。
 福岡高検の土持敏裕次席検事の話 判決文をよく検討し、今後の対応を決定したい。