尼崎事件 美代子容疑者、自殺を示唆「死んだら伝えてほしいことがある」

「生きていても意味がない」−。兵庫県尼崎市の連続変死・行方不明事件の殺人容疑などで再逮捕され12日、兵庫県警本部の留置施設で死亡しているのが見つかった角田(すみだ)美代子容疑者(64)は、尼崎市の民家で3人の遺体が見つかった10月以降、弁護人らに死をほのめかしていたという。複数の男を操り周囲とトラブルを繰り返してきた美代子容疑者は、事件の核心を語ることなく命を絶った。

 「悪いのはすべて私です」。美代子容疑者は今月5日、元溶接工の橋本次郎さん=当時(53)=に対する殺人容疑で再逮捕された際、そう供述したという。捜査関係者は、大江和子さん=当時(66)=の死体遺棄事件で昨年11月に逮捕・勾留されてから1年余りの間に「かなりやつれた」と話す。

 神戸市内で記者会見した弁護団の主任格、高木甫(はじめ)弁護士は弁護団の声明として、尼崎市の民家で3人の遺体が見つかった10月以降、「生きていても意味がない、と口にするようになり、自殺を敢行するのではと心配していた。毎日、交代で接見し、『関係者の処分を見届けずに死ぬことは許されない。真相を述べる必要があるのではないか。頑張れ』と励ましてきた。こういう結果になって残念」と明らかにした。

 高木弁護士によると、美代子容疑者はこのころから「傷害致死で起訴、有罪判決が出てたら、出所時には80〜90歳になるので、生きていても意味がない。家族にも会えなくなる」「死んだら伝えてほしいことがある」などと漏らしていたという。

 最後に接見したのは11日夕。席を立つ際、美代子容疑者は起立して深々と頭を下げながら礼を述べたといい、「精神的に参っていたことは間違いない」と振り返った。

 橋本さんに対する殺人容疑については「死んだと報告を受け驚いた」と殺意を否認。他に逮捕された親族を案じ、かばうような発言を続けていたという。

 捜査関係者によると、美代子容疑者は取り調べで日常会話には応じるものの、供述調書への署名は一貫して拒否。神戸地検でも、取り調べを可視化する録音・録画を行ったが、署名には応じなかったという。

 高木弁護士は「真相究明が難しくなったのは間違いない。法廷で述べてほしいと思っていただけに残念」と無念の表情を浮かべた。
尼崎事件 角田美代子