美代子容疑者自殺 兵庫県警は責任否定、監視体制に「落ち度はなかった」

20121212-00000739-yom-000-1-view最後まで自ら事件の核心を語ることはなかった。兵庫県尼崎市の連続変死・行方不明事件で、殺人容疑などで再逮捕された角田(すみだ)美代子容疑者(64)が12日、兵庫県警本部の留置施設で死亡しているのが見つかった。事件の最重要人物が突然不在となったことで県警に動揺が走った。被害者の関係者は「真相が分からなくなる」と憤りをあらわにした。

県警記者クラブで午前9時半から約1時間、留置管理課による緊急の説明会が開かれた。県警は発見までの一連の経緯を説明したが、発生直後で情報も錯綜し、記者から詰め寄られる場面も見られた。

 出席した幹部は冒頭、手持ちの資料を見ながら発見されるまでの美代子容疑者に対する巡回の状況などの経緯を読み上げた。記者から監視体制について問われると「落ち度はなかった」と話し、責任については否定。「県警が定めている内規に違反はなかったが、詳細を調べる」と話し、当時担当だった同課員の聞き取りなどを進めていくと明かした。

 美代子容疑者が過去に「死にたい」などと複数回漏らしたことから、管理体制に焦点が向けられた。記者らは「具体的にどのように監視していたのか」「留置場の中は外から見えるようになっているのか」などと矢継ぎ早に質問。担当課員が電話と説明会場を何度も往復し、メモを渡す姿もみられた。

 死亡に使われたとみられる長袖シャツについても、「どのように巻かれていたか」「普段はどうしているか」など質問が集中。留置場内の位置関係などの確認に時間がかかり、手書きで房内のイラストを作成するなど、県警も突然の死に対応に追われた。

 留置場での自殺防止には日ごろの言動から心理状況をつかむことが基本とされるが、万全な策はなく、ある警察幹部は「普段の監視がすべて」と指摘する。

 容疑者が勾留中に自殺をほのめかしたりした場合は「保護室」と呼ばれる施設に入れ、看守が24時間態勢の常時対面で見守ることもある。

 自殺の方法は、衣類やシーツを破ってひも状にし、扉やトイレの戸にひっかけて首をつるケースがほとんど。一般の留置場のトイレは、顔以外は戸で見えないようになっているが、保護室では戸は取り払われているという。警察幹部は「本気で自殺しようと思えば、服さえあればできてしまう。かといって、裸にするわけにもいかない」と対策の難しさを明かした。
尼崎事件 角田美代子