訃報 大島渚さん80歳=映画監督

20130115-00000078-mai-000-5-view「愛のコリーダ」「戦場のメリークリスマス」などで知られる映画監督の大島渚(おおしま・なぎさ)さんが15日午後3時25分、肺炎のため神奈川県藤沢市内の病院で死去した。80歳だった。

京都市生まれ。京都大卒業後の1954年、松竹大船撮影所に入所。59年「愛と希望の街」で監督デビュー。60年には「青春残酷物語」「太陽の墓場」を発表し、作品の社会性と斬新な演出で、同時期に入社した吉田喜重、篠田正浩両監督と並んで“松竹ヌーベルバーグ”と称された。

 61年に松竹を退社し、独立プロ「創造社」を設立。「飼育」(61年)、「白昼の通り魔」(66年)、「絞死刑」(68年)、「儀式」(71年)など次々に問題作を発表した。創造社解散後の76年、フランスとの合作で「愛のコリーダ」を製作。激しい性描写が物議を醸し、映画のスチール写真を掲載した単行本「愛のコリーダ」が、わいせつ文書にあたるとして、摘発された。82年に無罪確定。

 劇映画だけでなく、「忘れられた皇軍」などテレビドキュメンタリーでも活躍。社会の弱者の現実を鋭い体制批判を込めて描き、海外でも高く評価された。

 78年「愛の亡霊」でカンヌ国際映画祭監督賞、83年「戦場のメリークリスマス」で毎日映画コンクール日本映画大賞などを受賞。

 96年、新選組を題材にした「御法度」製作発表直後、出血性脳梗塞(こうそく)で倒れ入院。後遺症は残ったが、99年に映画を完成させ、カンヌ国際映画祭に出品した。この作品で毎日芸術賞を受賞した。

 テレビのクイズ番組やワイドショーでタレント性を発揮するなど、お茶の間の人気者でもあった。妻は女優の小山明子さん。