駆け込み退職防止へ、削減幅縮小・施行日変更も

公立学校の教員らによる駆け込み退職問題を受け、3月1日に退職手当削減を予定する自治体が対応に苦慮している。

 年度末まで勤めた場合との損得感を少しでもなくすため、削減率を小さくする工夫も。一方で、業務への影響を抑えようと、施行時期の繰り下げを検討する自治体では、時期を巡って労使交渉が難航している。

 読売新聞が47都道府県と20政令市を取材したところ、29日現在で3月1日の施行を予定するのは千葉、兵庫、京都など8府県。

 当初、1人当たり約140万円削減する予定だった沖縄は、削減幅を約45万円に縮小する対策に出た。

 「早期退職者が相次ぐ可能性がある。対応策を考える必要があった」と県人事課。3月末まで勤務しても、2月末で退職しても、月給を考慮すれば、受給額はほぼ同額になるという。県は「多くの教職員が任期を全うしたいので、経済的理由で途中退職を選ぶことがないような対策で折り合いを図った」としている。

 神奈川も、約150万円の削減予定を変更、労使交渉で約100万円にすることで決着した。ただ、2月末に退職した場合、3月分の給料がなくても約60万〜55万円多く受け取れる計算となる。県労務給与課の担当者は「駆け込み防止に少しでも効果が出れば。手当引き下げを4月以降にするのは県民の理解を得られないと判断した」と話す。

 山形は2月議会に3月1日施行の条例案を提出予定だった。一連の問題を受けて施行日の繰り下げを検討したものの、29日の労使交渉では決着しなかった。労組側は4月1日施行を要求していた。交渉は継続する。今年度の施行が見送られた場合、削減予定だった約7億円は県民負担になる。