シャープ、中国企業とIGZO合弁生産へ 投資負担避け販拡狙い

20130626-00000032-mai-000-2-viewシャープが、中国の電機メーカー・南京中電熊猫信息産業集団(CECパンダ)が南京市で建設中の液晶パネル工場に出資し、新型液晶「IGZO(イグゾー)」の技術を供与する方向で最終調整に入ったことが26日、分かった。数百億円の技術料とともに、出資比率に応じた量を引き取る権利を得る。スマートフォン(高機能携帯電話)の世界的な需要に対し、自社生産にこだわらない提携で応じることで経営再建を進める。

CECパンダの新工場は投資額約3000億円。合弁生産は2015年初めにも始めるとみられる。スマホやタブレットなど向けの中小型を中心に製造するが、現地需要が堅調なテレビ向けの液晶パネルにシャープのIGZOを応用することも検討している。

 シャープは金融支援を受けていることから、大規模な設備投資ができない。主要取引銀行2行との間で、期限が6月末に迫っていた3600億円の融資枠を16年3月末まで延長することで合意。さらに1500億円の新規枠も確保し、今年9月に償還を迎える2000億円の転換社債の資金手当てにめどをつけた。

 今回のCECパンダとの協業は、技術流出を避けるため基礎研究から商品製造まで一貫して手がけた「自前主義」からの脱却に向けた本格的な試金石となる可能性がある。自己資本比率が1桁まで低下しているシャープにとって、投資負担を減らすとともに、IGZO関連の需要を逃さないために生産能力を増強するという二律背反を両立させるには、“虎の子”のIGZO技術を新興国メーカーに供与するのもやむを得ないと判断したもようだ。

 IGZOはシャープが世界で初めて液晶の量産に成功した技術で、省エネ性能に優れ、画面が高精細でタッチパネルの操作性が高い。しかし、韓国・サムスン電子など海外の競合他社が技術開発を急いでおり、「優位性が確保できるのは2年程度」(証券アナリスト)とされる。