長谷川3階級見えた1回KO/ボクシング

<プロボクシング:56・7キロ契約10回戦>◇12日◇東京・大田区総合体育館

 元世界2階級王者の長谷川穂積(32=真正)が、鮮やかにノンタイトル戦4連勝を飾った。メキシコ・スーパーバンタム級王者のヘナロ・カマルゴ(26)を1回2分32秒、TKOで下した。「ノーダメージで終われたので良かった」。顔には傷ひとつない。家族も見守る中、長谷川はきれいな顔のままで“最後の世界前哨戦”を終えた。

 速く、力強かった。いきなり開始1分50秒で左フックを当ててダウンを奪う。相手は立ち上がってきたが、勝機は逃さない。左の連打を繰り出し、直後に再び強烈な左フックを放ってマットに沈めた。「左の3連打を、あのスピードで打つのは難しい。自分が持ってる武器だと思う」と、ドヤ顔で胸を張った。

 直前のアクシデントを乗り越えた。7月16日の練習中に右太ももを肉離れした。1週間練習できなかった。「体調は七分程度だった」と山下会長は明かす。だが、練習再開後は痛めた足を考慮し、短い距離でのパンチ力を強化してきた。その成果が表れたようなKO劇に、長谷川も「したいこと、してきたことが出た。たった2分くらいやったけど、意味のある2分だった」とうなずいた。

 今後の照準は、スーパーバンタム級での世界3階級制覇だ。「年内くらいにやれれば」と山下会長。これから、試合実現に向けて動きだす。長谷川も「もう1つ、ベルトを取りたい。すぐ練習します」。確かな自信を胸に、次の決戦に備える。

◆長谷川の王者陥落後◆

▽2度目の世界陥落 10年4月に11度目のWBC世界バンタム級王座防衛戦に敗れた後、同年11月にWBC世界フェザー級王座を獲得し2階級制覇達成も、11年4月の初防衛戦で敗退。4回に相手のゴンサレスの右ロングフックを浴びてのTKO負けだった。進退について「簡単に“やる”とは言えない」と発言した。

 ▽骨折 11年12月5日のスパーリング中に右肋骨(ろっこつ)を骨折。全治1カ月と診断され、同17日に予定していた再起戦が中止となった。

 ▽再起戦 12年4月6日にノンタイトル戦を行い、7回TKO勝ち。同年12月には55・8キロ契約の10回戦でWBC世界スーパーバンタム級13位のアルツロ・サントス(メキシコ)と対戦し判定勝ち。今年4月にもタイのフェザー級5位ウィラポンを相手に3回KO勝ちしていた。