ツイッターの成長を支える3つの分野

米ツイッターが証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)を申請したことを明らかにした。誰もが知りたいのは、同社が100億ドルを超える企業価値を証明できるほどの収益をどのようにして上げるつもりなのか、ということだ。

 ツイッターの財務報告書はまだ公表されていないが、米調査会社イーマーケッターによると、2014年の広告収入は今年の5億8200万ドルから10億ドル近くに増加する見通しだという。ツイッターの重要な収益源となる(またはなりつつある)3つの分野を紹介しよう。

携帯電話

ツイッターは今後の携帯端末向け事業で生き残りに不安を感じていない数少ない主要インターネット企業の1社だ。携帯端末分野の強さがIPOを狙う投資家にアピールすることは間違いないだろう。

 これに対して、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手のフェイスブックは昨年のIPOを控えていたころ苦悶していた。携帯電話でフェイスブックを利用する会員が増え続けていたにもかかわらず、小型画面で広告を販売する戦略が決まっていなかったからだ。同じように、グーグルは広告料金がパソコン向けよりスマートフォン向けのほうが安いという理由で、株が売られたこともある。

 ツイッターが携帯端末向け事業で問題を抱えたことは一度もない。ツイッターの利用者の大多数は携帯端末から同社のサービスを利用している。同社幹部は昨年、売上の大部分が携帯端末経由で発生していることを明らかにした。

 ソーシャルメディア向けの広告会社140プルーフ(サンフランシスコ)の共同創業者で最高経営責任者(CEO)のジョン・エルブクロッグ氏は「ツイッターは最初から携帯端末向けだった。携帯端末に的を絞ったのは実に賢明で、売上の観点からもうまくいくだろう」と述べた。

 ツイッターは先見の明があった上、携帯電話向けの広告戦略に苦しんだフェイスブックという先例を見ることができた。業界のアナリストによると、そのおかげでツイッターは正しく事業を展開するために時間をかけたという。

 イーマーケッターのアナリスト、デボラ・アホ・ウィリアムソン氏はツイッターが開発を慎重に進めた結果、大量の広告でユーザーの体験を損なうよりも、体験を引き立たせるシンプルな製品や機能を作り出すことができた話す。

 しかし、ウィリアムソン氏は投資家が売上拡大を期待しているとして、ゆっくりとしたペースでの開発を続ける余裕はないかもしれないと指摘している。「ツイッターはゆっくりと着実に進めれば勝てることを証明しようとするだろうが、なまやさしくはないだろう」と述べた。

映像

ツイッターの経営幹部によると、テレビとツイッターは、ピーナッツバターとチョコレートのように共存できるという。スーパーボウルやドラマ「Pretty Little Liars(かわいいうそつきたち)」をテレビで視聴しながらツイートする人が増えている。テレビもツイッターもこの流れを利用しようとしている。

 企業はツイッターを利用してこれまでより長い宣伝文や写真、映像を投稿できる。利用者は他のサイトに飛ばずに、ツイッターのサイトやツイッターの携帯端末用アプリケーション上でそれらを見ることができる。ツイッターはESPNなどのテレビ局やフォードなどの広告主と契約しており、企業はテレビ番組のハイライト場面やテレビコマーシャルのような映像をツイッターに投稿することができる。

 調査会社ニールセンによると、世界全体のテレビ広告費は年間約3500億ドルに上る。ツイッターと同社の株を狙う投資家にはその一部が手に入ることになる。

 ツイッターのテレビ戦略に問題があるとすれば、フェイスブックが最近、テレビの友として同社のサービスをテレビ局や大手広告主に売り込んでいることだ。ツイッターのディック・コストロCEOはツイッターがテレビの力を何倍にもできると言ったが、お株を奪われてしまう可能性がある。

広告事業

ツイッターの顧客基盤が現在の月間約2億人から大幅に増加しない限り、グーグルや10億人以上が利用するフェイスブックの規模で広告収入を上げることはできない。

 ソーシャルメディアの分析会社Awe.sm(サンフランシスコ)の共同創業者ジョナサン・ストラウス氏は「ユーザー1人当たりの平均売上高は今後12カ月から18カ月の間はおそらく急激に増加するだろう」と述べた。しかし、「どうやって投資家にアピールできるようなペースで顧客基盤を広げていくのか」との疑問も口にしている。

 ツイッターは広告戦略で新たな段階に最初の一歩を踏み出したのかもしれない。

 同社は今週、広告仲介会社のモーパブを買収したと発表した。携帯電話に広告を表示したいコカコーラのような販売側と、広告スペースを提供するウェブサイトを結びつけるのがモーパブの仕事だ。ツイッターはモーパブを通じて、初めてツイッターの枠を超えた広告事業に乗り出すことになる。