宍道湖 シジミ漁船2隻転覆、1人死亡1人重傷

4日午前8時ごろ、松江市玉湯町沖北約100メートルの宍道(しんじ)湖で、シジミ漁船2隻が転覆するなどした。県警松江署によると、救助にあたった漁師らを含め計5人が病院に運ばれ、同市の三島力さん(66)が死亡。30代の男性が両足骨折の重傷を負った。松江地方気象台によると、市内では午前8時7分に最大瞬間風速25.1メートルを記録し、強風や波浪注意報も出ていた。

宍道湖漁業協同組合(松江市)などによると、現場付近では早朝から3隻がシジミ漁をしていたが、うち1隻は強風のため午前7時ごろに漁を中止した。この船の漁師が、他の2隻が戻らないことを心配し、現場に引き返したところ、転覆している1隻と、無人の1隻を発見したという。両足を骨折したのは伊藤和則さん(39)とみられる。

 松江署によると、現場で漁をしていた2隻のうち1隻が動かなくなり、もう1隻がえい航しようとした際に事故が起きたという。

 同組合によると、三島さんは30年、伊藤さんも10年以上の漁の経験があった。2隻に衝突した形跡はなかったという。原俊雄・代表理事組合長は「私も漁に出ていたが、今日は突然、強風が吹いた。事故がないか心配していた。こんなことになるなんて」と肩を落とした。

 島根県水産課によると、淡水と海水が混じる汽水湖の宍道湖は内海で、普段は穏やかだ。宍道湖で取れるシジミは味が良いとされ、県の代表的な特産物になっている。昨年の島根県の漁獲量は青森県に次ぎ全国2位で、春から秋にかけて収穫量が増える。一般的なシジミ漁は、漁師が小舟から柄の先に網カゴが付いた鋤簾(じょれん)を使い、湖底を引いてかき取る。湖につかって漁をすることもあり、強風の場合は危険が伴う。