生活保護費 福岡の2施設、通所者に大半渡さず 市が調査

アルコール依存症などの通所者を支援する福岡市の施設で、通所者が受給している生活保護費の大半を施設の運営側が徴収していることが20日、市への取材で分かった。通所者が市に相談しており、市は保護費が適正に使われているかどうか実態調査を始めた。

 施設は北海道函館市のNPO法人が運営し、主にアルコール依存症の人たち向けの2支援施設(ともに福岡市博多区)。年齢要件などで保護費の受給額は異なるが、月約10万円の保護費のうち通所者に1000〜3000円を渡し、残りの大半を施設側が徴収しているとみられるという。

 2施設にはNPOが用意した宿泊場所から約35人が通い、アルコール依存症を脱する取り組みを支援しているとみられる。市は今年度、地域活動支援センターに該当する2施設に運営費約2900万円を補助する予定だったが、市保護課は「保護費の使われ方が適正かどうか状況を確認したい」としている。

 支援施設は毎日新聞の取材に対し「全員がホームレス出身でアルコールなどの依存症を脱するよう取り組んでいる。保護費も通所者の生活費にきちんと使っている」と話した。

 同NPOは全国17カ所に関連施設がある。同NPO関連の生活保護をめぐっては、札幌市手稲区が2005年度から今年4月までに計7件、自立した生活につながらず、生活保護法の趣旨に沿わないとして申請を却下した。