関電VS大ガス 都市に埋蔵「下水エネルギー」発掘 自由化備え

都市部の下水が新しいエネルギー源として脚光を浴びている。真冬でも外気温より高いため効率よく温水をつくれるうえ、化石燃料に比べて環境への負荷が少ない点が注目されているためで、関西電力と大阪ガスはそれぞれ、下水の持つ熱や処理過程で発生するガスを活用した事業に取り組んでいる。電力も都市ガスも自由化が進められ、業種の垣根を越えた競争になるのは確実で、両社とも「下水エネ」に期待をこめる。

関電は、大阪市立大などとともに下水の熱を取り出して温水をつくる熱交換システムを開発した。下水は真冬でも18度程度と外気温より10〜15度程度高いことに着目したもので、下水を冷水が循環するパイプに掛けて熱を取り出す。

下水が複数のパイプにまんべんなく当たるよう、パイプとパイプの間に樋(とい)の役割をする金属板を取り付けるなどの改良を重ね熱効率を上げた。関電によると、給湯で一般的に使われるガスボイラーに比べ総合効率は約2倍で、年間の運転コストは補助金を含めると6割安いという。

関電のお客さま本部営業計画グループの中曽康壽担当部長は「都市に張り巡らされた下水道管を利用することで、石油やガスなど化石燃料を使わずに熱を供給できる。環境への負荷を軽減できる」と期待する。大ガスの顧客でもあるホテルやスーパー銭湯などでの採用を目指す。

一方、大ガスは、下水処理場での汚泥処理過程で生成される可燃性ガスに着目。大気中に放出され、地球温暖化の原因の一つにもなっているが、これを発電に利用すれば化石燃料の消費を抑えることができ、環境対策にもなる。

恒常的に発生する汚泥からのガスは再生可能エネルギーと定義できるため、このガスを使って発電した電気は固定価格買い取り制度を利用して電力会社に売電することも可能だ。

大ガスは昨春、子会社を通じ、神戸市の下水処理場でガス発電設備を設置して売電を開始。「ガス発電事業で培った技術やノウハウが生かせる。環境負荷の低減にも貢献したい」と意気込んでいる。