異物混入、情報開示どこまで 回収基準引き下げ、悩む食品各社

外食、メーカー、小売りなど食品を取り扱う各社は、日本マクドナルドのチキンナゲットへのビニール片混入など相次ぐ食品への異物混入問題を受け、混入事実の情報開示や自主回収の基準引き下げを検討する。これまで各社が独自に基準を設けて対応してきたが、一連の問題が示すようにインターネットなどで消費者が公表する場合も多く、会社基準を理由にした非開示が「不都合な情報を隠している」ととられる懸念が強まっているからだ。しかし基準引き下げの明確な指針はなく、各社は試行錯誤を迫られている。

 食品メーカーなどは異物が混入した際、お客さま相談室などに通告が入ると、原因追求を始めると同時に品質管理部門や経営幹部に事態を報告する。ただホームページなどを通じて開示するかは、混入の原因が明確に会社側にあるときや、健康被害が広がる懸念があるときなどと細かく基準を決めている。

 事実、日本マクドナルドの7日の会見では4件の異物混入が説明されたが、本来は開示する基準ではなかったという。だが報道によって問題が大きくなる中、開示を余儀なくされた。

 8日にはアサヒグループホールディングスが、子会社のベビーフード大手の和光堂の離乳食に虫が混入していた問題で、ホームページなどに謝罪や事態の推移などを掲載。同時に自主回収を表明したが、混入の経緯は分かっていない。担当者は「今までの基準なら開示や自主回収をしないが、すでに報道されている以上、会社として対応が必要になった」と説明する。

 こうした対応は今後、各社に波及しそうだ。7日に会見したばかりの日本マクドナルドは8日、長野県松本市の店舗で7日夜に販売されたソフトクリームの中にビニール片のようなものが混入していたと客から店に届け出があった、と明らかにした。

 ある流通大手の幹部は「原因が分からないままでの自主回収は避けたいが、消費者の反応を考えると致し方ない」と述べ、開示基準のあり方の検討に入る考えを示した。