第三の山形米、試験栽培拡大 新年度25ヵ所で

山形県は新年度、県産米の新品種「山形112号」の実証試験栽培を拡大する。「つや姫」「はえぬき」に続く主力品種として有望で、栽培技術の確立を急ぐ。品種登録も新年度中に出願し、生産調整(減反)が廃止される2018年産の一般作付けに間に合わせる。

試験栽培は本年度、酒田市の1カ所のみ。新年度は県内全域の25カ所に拡大し、土壌や気候の違いによる生育や収量、食味の差を検証する。2〜3年かけて、地域ごとの栽培マニュアルを策定する。

一般作付けに向け、農林水産省に品種登録を出願する。通常、登録には数年を要するという。その間、全農県本部や流通、販売関係者らと山形112号のネーミング、ブランド化を含めた販売戦略の検討を進める。

山形112号はひとめぼれ系統の山形90号、はえぬき系統の山形80号を交配した品種。粒が大きくて作りやすく、高収量が期待できる。倒伏や暑さ、寒さに強いという。

13年度に終了した県水田農業試験場(鶴岡市)の奨励品種決定調査で、食味は「はえぬきを上回る」と高く評価された。はえぬきは日本穀物検定協会の食味ランキングで、最高ランク「特A」を20年連続で受賞している。

県産米は「つや姫」がデビュー5年目で、高級ブランド米の地位をほぼ確立。「はえぬき」は業務用に根強い人気があるものの、価格の低迷が著しい。県は両品種の中間的な需要を狙い、山形112号の導入を目指す。

県県産米ブランド推進課は「山形112号をどのようなポジションのコメにするのか、はえぬきとの差別化を含めて明確にする必要がある。試験栽培を重ね、試行錯誤しながら一般作付けの条件を整えたい」と話している。