電機大手、円安効果6社が増益 4〜12月期 家電、構造改革道半ば

電機大手8社の平成26年4〜12月期連結決算が4日出そろい、円安を背景に営業利益ベースでシャープと富士通を除く6社が増益を確保した。インフラなど重電系の事業では安定的に稼ぐ企業が目立つ一方、価格競争や在庫リスクがある家電部門では、海外のテレビ事業撤退などリストラ策を打ち出す企業が相次ぎ、収益性回復は道半ばだ。ソニーは4日、27年3月期通期の営業損益予想を赤字から黒字に転換しており、収益体質を取り戻すことができるか、正念場を迎える。

 ■ソニー営業黒字に転換 3月期予想

 ソニーは米映画子会社がサイバー攻撃を受けた影響で、4日は概算での業績発表となった。確定値は3月末までに公表する予定だ。

 10〜12月期でみると、前年同期は50億円の赤字だったテレビ事業も93億円の黒字に転換。連結でも営業利益が倍増するなど、業績改善の兆しが見える。

 27年3月期予想は、昨年10月時点の見通しより売上高を2千億円多い8兆円に引き上げたほか、営業損益を400億円の赤字から200億円の黒字に転換。最終赤字は2300億円から1700億円に縮小する見通しだ。

 牽引(けんいん)役はデバイス事業。中国など新興国市場でのスマートフォン需要の拡大に伴い、カメラに使われる画像処理用の半導体「イメージセンサー」の販売が増えた。通期で連結営業損益の改善幅は600億円だが、330億円は同事業が寄与する。新興国のスマホ需要では、三菱電機も生産設備であるFA(ファクトリーオートメーション)システムの販売増が業績の上方修正の原動力となった。東芝も半導体の拡販につながるなど、影響が大きい。

 日立製作所が4日発表した4〜12月期決算は、中国でのエレベーターなどの社会インフラ事業や高機能材料分野などが堅調で増収増益となった。円安による営業利益の押し上げ効果は170億円だった。

 中村豊明副社長は記者会見で、「昨今の原油安も、コスト面でプラスに働いている」と説明した。

 欧米で車載用電池の販売が好調だったパナソニックも円安の恩恵を享受。河井英明専務によると、1ドル当たり1円の円安で同社の営業利益を10億円押し上げる効果があるという。

 電機各社は企業向けと個人向け、両方のビジネスを行っているが、苦戦が続くのが家電部門。中国・韓国勢との競争に加え、需要予測も難しいからだ。テレビ事業についてはパナソニックが中国での生産から、東芝は海外での生産・販売からの撤退を打ち出した。ソニーは4日、スマホ事業で1100人規模の追加人員削減を正式発表した。

 ソニーの吉田憲一郎最高財務責任者(CFO)は、「パソコン事業の撤退などで、社員の考え方が変わってきた」と改革の効果を強調。再成長に向けた中期経営計画を今月18日に公表することも明らかにした。ここで、“復活”への道筋を示せるか注目される。