国内時計大手が「日本製」前面に 外国人向け、春夏モデル相次ぎ発売

国内時計大手各社は、急増している外国人観光客向けに、今春夏モデルで、日本製腕時計のラインアップを強化する。セイコーウオッチは文字盤に漆を用いて「和」を意識した機械式時計を発売、日本製の中高級機種を充実させる。シチズン時計は、外国人のまとめ買いに手頃な5万円前後の日本製時計「シチズンコレクション」のラインアップを中心に対応商品7モデルを投入する。

 セイコーウオッチは、戦略商品として、今月14日に文字盤に日本の伝統工芸である漆塗りを用いた機械式時計「セイコープレザージュ」2機種(税別11万〜13万円)を発売する。従来、同ブランドの3万〜6万円程度の製品が外国人に人気で認知度も高いため、同じブランド内で高価格帯の製品まで広げ、顧客の取り込みを図る。セイコーでは、時計販売全体の1割以上を外国人観光客の購入が占めており、「日本ならではの付加価値のある製品を増やしていく」(高橋修司常務)考えだ。

 シチズン時計は、世界各国で使える電波時計の種類を充実させ、「皮バンド&ゴールドケース」という中国人など外国人観光客に好まれるモデルを追加する。また、中国語が話せる販売員を、福岡や札幌などにも増強し、販売面の対応強化も図る。今後は、百貨店での購入増などに対応し、「日本でしか購入できないモデルを積極的に投入する」(竹内則夫取締役)。

 カシオ計算機は、子会社の山形カシオにある「PPL」という10万円を超える高級モデルの生産ラインでの製品を増やすほか、スマートフォンと連携し世界300都市の時刻を簡単に設定できる時計ブランド「エディフィス」を発売する。「東南アジアなど、電波が受信できないエリアの顧客も購入できるモデルに力を入れる」(広報宣伝部)ことによって外国人の潜在需要を開拓する。

 訪日観光客の増加は、国内時計各社にとっても追い風。“メード・イン・ジャパン”を前面に出した商品戦略は重要なカギとなりそうだ。