麻薬容疑者 包丁持ちタクシー奪い逃走 下関

6日午前8時20分ごろ、山口県下関市竹崎町のホテル前で、刃物のような物を持った男が、客待ち中のタクシーを奪って逃走した。タクシーの運転手にけがはなかった。県警は窃盗容疑で男の行方を追っている。

 県警下関署によると、男は同市竹崎町、職業不詳、文健二容疑者(56)。県警の捜査員らが麻薬特例法違反容疑で捜査するため自宅に行ったところ、刃物のような物を振り回して逃げた。文容疑者は身長172センチ、黒髪のオールバックで、黒っぽい上着を着ていた。

 タクシーは約1時間半後、南西に約2キロ離れた同市彦島本村町のファミリーレストラン付近の駐車場に乗り捨てられていた。近くでは、文容疑者が所持していたものとみられる包丁が見つかった。

 県警はタクシーを奪う際に刃物を突きつけたかどうか、はっきりしないため強盗ではなく窃盗容疑としている。

 タクシー会社によると、タクシーはJR下関駅近くのホテル前で客待ちをしていた。文容疑者は突然、後部座席に乗り込んで、女性運転手(67)に降りるよう指示した。文容疑者の手に血のようなものがついていたといい、運転手が慌ててタクシーから降りると、運転席に移って走り去った。

 タクシーが奪われる場面を見ていた女性は「警察官が客待ちしていたタクシーに向かって走っていると思ったら、先頭の車が突然にスピードを出して走り去った。何があったのかわからないので怖い」と声を震わせた。

 県警が捜査しようとした文容疑者の自宅は6階建て集合住宅の4階にある。同じ階に住む男性は「騒がしかったので玄関のドアを開けたら警察の人がたくさんいて『刃物を持った男が逃げた』とあわてた様子だった」と話した。