ファミマ&ユニー 一筋縄でいかない「統合交渉」3つの障壁

果たして、うまくいくのか。10日、経営統合の協議に入ることを発表したコンビニ業界3位のファミリーマートと、4位のサークルKサンクスを傘下に抱えるユニーグループHD。コンビニとスーパーという業種の垣根を越えた大型案件だが、業界関係者の間では、早くも先行きを不安視する声が上がっている。

■メリットは伊藤忠へ

 今回の統合を主導したのはファミマの筆頭株主で、ユニーHDの大株主でもある伊藤忠とされる。大手商社の伊藤忠にとっては、ファミマもサークルKサンクスもユニー系スーパーも商品の納入先。今回の統合は、セブン&アイHDと資本関係のある三井物産やローソンの筆頭株主である三菱商事の後塵を拝する伊藤忠にとって、規模のメリットが大きい。が、裏を返せば、ファミマとユニーHDにとっては、デメリットや越えなければならない壁が高い。

■スーパー事業は“お荷物”

 ユニーは東海地方を中心にスーパー「アピタ」などを展開するが、最近は業績が低迷。売上高は消費増税後、11カ月連続マイナスだ。不振のスーパー事業が統合の“お荷物”となる可能性は高い。また、スーパーのノウハウが全くないファミマが、どこまでやれるかも不透明だ。

「数年前から『サークルKサンクス売却』の話は持ち上がっていましたが、なかなか実現しなかった。コンビニ事業だけ欲しかったファミマと、コンビニを売ったらスーパー事業だけが取り残されるユニーとで、折り合いがつかなかったのだと思います。それだけにコンビニとスーパーの“融合”は簡単ではありません」(業界関係者)

■ブランド統一で主導権争い

 統合後のコンビニブランドは「一本化」するとしているが、どの名前を使うのか、主導権争いは激しくなりそうだ。01年に統合したサークルKサンクスも結局、14年を経た今でも「サークルK」と「サンクス」の2つのブランドが残ったままだ。それが業績不振の理由ともされてきた。

「ファミマ側は『ファミリーマート』を、ユニー側は『サークルK』を残したいでしょう。顧客は今ある名前に愛着を持っているので、双方が譲れないとしても、ブランド名の一新も考えにくい。一本化が一番の難題です。経営統合が来年9月と、かなりのスローペースで設定されています。さまざまな調整に時間がかかると踏んでいるのでしょう」(前出の関係者)

 過去を振り返っても、「キリンとサントリー」が統合交渉の途中で破談。「近畿日本ツーリストと日本旅行」や「バンダイとセガ」など経営統合を発表しながら破談で終わったケースも少なくない。

 ゴールが1年半以上も先なだけに、まだ紆余曲折がありそうだ。