トヨタ・マツダ提携拡大で調整 燃料電池車やエンジン技術 相互に活用

トヨタ自動車とマツダが提携を拡大する方向で調整していることが9日、わかった。これまでトヨタがハイブリッド車(HV)の技術をマツダに提供してきたが、燃料電池車(FCV)やエンジンの技術などに広げる。世界的に環境規制が強化され、競争も激しくなる中、お互いの得意分野を活用し、生き残りを図る。

 トヨタが強みを持つFCVや充電可能なプラグインハイブリッド車(PHV)の技術などをマツダに提供。マツダは「スカイアクティブ」と呼ぶ高出力で低燃費のディーゼルエンジンやガソリンエンジンの技術供与を検討する。部品の共同調達や商用車の供給まで踏み込む可能性もある。

 マツダの企業規模ではFCVなどの独自開発は難しいが、米カリフォルニア州でエコカーの販売を義務付ける規制が導入されるなど各国で環境規制が強化される見込みで、トヨタとの連携はメリットが大きい。トヨタとしても“FCV陣営”の拡大につながる。

 トヨタはHVなどの環境技術を得意とし、昨年に世界で初めてFCVの量販を開始した。だが、従来型エンジンの性能向上ではマツダが先行しており、技術供与によって品ぞろえを強化できる。

 両社は平成22年にトヨタがマツダにHV技術を供与することで合意。24年にはマツダのメキシコ工場で小型車をトヨタ向けに生産することを決め、今年から供給する。一定の成果が出ており、関係強化に動く。

 自動車業界では分野ごとの提携が加速している。トヨタは独BMWとFCVを共同開発、日産自動車・仏ルノー連合と独ダイムラーは小型車や大型車の生産で協力する。世界で事業展開し、次世代技術などの開発に巨額の資金が必要になる中、限られた経営資源を有効活用する狙いがある。