JT、飲料自販機を売却へ ビール系3社が争奪

日本たばこ産業(JT)は22日、自動販売機による飲料販売事業を行う子会社のジャパンビバレッジホールディングスの保有株式を売却する方針を固めた。JTは飲料関連事業から完全撤退し、たばこ事業に経営資源を集中する。JT子会社の買収に向けて、既にビール系飲料3社などが名乗りを上げ、激しい争奪戦を繰り広げている。

 ジャパンビバレッジは、国内に約26万台の自販機を持つ。JTは保有する71%分のジャパンビバレッジの全株式を売却する方針だ。JTは飲料製造販売事業から9月末に撤退することにしており、自販機も売却が妥当と判断した。

 買収に名乗りを上げる各社の自販機数は、サントリー食品インターナショナルが49万台、アサヒ飲料28万台、キリンビバレッジ25万台。台数の多寡は販売数量に大きく関わる。ジャパンビバレッジ分を手中に収めれば、勢力図を塗り替えることができる上、首位の日本コカ・コーラ(83万台)の背中も見えてくる。

 アサヒ飲料の岸上克彦社長は「自販機の台数が多いというのは武器になる」とし、キリンビバレッジの佐藤章社長も「前向きにやらねばならない」と語る。

 ただ、買収総額は1千億円を上回るとの見方もあり、「高値づかみして将来、損失が出る」(証券業界関係者)可能性もある。

 金融市場では、サントリーを最有力候補と見る向きもあるが、サントリー首脳は産経新聞の取材に対し「そんな簡単に決着はつかない」と答えた。