負債105億、第三セクターの奈良県林業基金が民事再生

第三セクター等の倒産では今年2番目の負債規模

 公益財団法人奈良県林業基金(TSR企業コード:620182180、奈良市高畑町1116−6、設立昭和58年12月、荒井正吾理事長、従業員10名)は5月25日、奈良地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は以呂免義雄弁護士ほか1名(新奈良法律特許事務所、奈良市西御門町2、電話0742−25−0098)。
 負債総額は約105億500万円(平成27年3月期決算時点)。負債は今年の第三セクター等の倒産では、蒲郡海洋開発(株)(2月特別清算、愛知県蒲郡市、負債額200億円)に次ぐ2番目の規模。また、林業の倒産としては、一般社団法人京都府森と緑の公社(平成26年6月民事再生、京都市、負債額227億8300万円)に次ぐ2番目の規模。
 昭和58年12月に奈良県や県内17市町村、県内木材2団体のなどの出資により設立された第三セクター。森林の公益的機能の増進や林業・山村の振興、林業労働者の雇用機会の創出等を目的としていた。これまでに約1,300ヘクタール(186経営区)の森林整備を行ってきたが、伐採収入があるまでの間は借入金に依存した事業運営を余儀なくされるという分収造林事業の構造的な問題に加え、木材価格の長期的かつ大幅な下落により、厳しい経営が続いていた。
 そのため、新規造林の休止や職員配置の見直しを行うなどの経営改善を講じてきたが、抜本的な解決には至らなかった。また、森林資産の時価評価を実施したところ、大幅な債務超過に陥っていることが判明した。木材価格が低迷する状況で、債務の償還を行うことが困難と判断し、平成26年5月開催の理事会で解散することを決議した。
 なお、今後は分収造林事業を整理したうえで奈良県への事業譲渡をおこなった後、平成29年3月末を以て解散する予定となっている。