日産、ミニバンタクシーで“1強トヨタ”追撃へ 訪日客など需要取り込む

20150609-00000502-biz_fsi-000-2-view日産自動車が8日、ミニバン型のタクシー専用車の出発式を東京都港区で開き、都内での本格走行が始まった。国内はセダン型が主流だが、ミニバン型は多くの荷物が積め、乗り降りがしやすいなどの利点がある。日産は2020年の東京五輪に向けて増加が見込まれる外国人観光客の需要を取り込み、タクシーでシェアトップのトヨタ自動車を追撃する構えだ。

本格走行を始めたのは「NV200タクシー」。5人乗りで荷室にはスーツケースが4個収納できるほか、電動式のスライドステップで高齢者や子供も楽に乗り降りができる。8日の出発式後には、初期導入したタクシー会社の35台が銀座やお台場などをパレードした。

すでに米ニューヨークでは次世代イエローキャブとして約700台が走行。スペインのバルセロナなど欧州ではNV200の電気自動車をベースにしたタクシーが導入されているが、国内はセダン型が主流で、トヨタがシェアの大半を握っている。

8日の出発式で星野朝子専務執行役員は「大きなスーツケースをセダン型のタクシーに積むことは難しい。(ミニバン型は)広々とした席でリラックスし、サンルーフから東京の街並みを楽しむこともできる」と外国人観光客への利点を強調。高齢者や子育て中の世帯など「強い国内ニーズも存在している」と潜在需要を指摘した。

NV200タクシーの価格をセダン型と同等の219万6720円〜に設定し、年間1000台の販売を目指す。

日産はNV200の発売を前に昨年9月にセダン型「セドリック」の生産を中止しており、ミニバン型の普及で市場でのシェアを高める考えだ。