税収頼みの財政再建…ハードル高く「楽観」指摘も 骨太方針

10日の経済財政諮問会議で政府が提示した「骨太方針」の骨子は、経済成長による歳入増で基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の赤字を改善し、その後に本格的な歳出改革に切り込む「二段構え」の財政再建プランだ。景気回復による国の税収の上振れを見込み、高成長の「果実」を追求する成長重視の姿勢を一層鮮明にした。ただ、不透明な税収増に過度に依存しており、歳出削減の具体化が進まなければ画餅に終わるリスクもはらむ。(尾崎良樹)

 平成30年度にPB赤字を国内総生産(GDP)比で1%程度に低下させる「中間目標」の設定は、経済成長路線が持論の安倍晋三首相の意向が強い。消費税率8%への引き上げで景気が減速した轍(てつ)は踏まず、10%に再引き上げする29年4月まで高成長の「芽」がしぼむ要因は避けて環境を整えるイメージを描く。

 景気回復の恩恵により、26年度の国の税収は、1月時点で政府が見積もった約51兆7千億円から2兆円超上振れし、54兆円を超える可能性が出ている。

 ただ、今回のプランは平均で実質GDPの伸びが2%以上、名目で3%以上という従来の経済成長を上回るケースが前提だ。潜在成長率が1%未満にとどまる中、そのハードルは高い。

 内閣府の試算によると、消費税率10%引き上げに伴う税収増を織り込んでも32年度には9・4兆円のPB赤字が残る。穴埋めの大半を追加的な歳入増に期待するプランには、財務省から「楽観的すぎる」との声が漏れる。来年夏の参院選を控え、自民党からは「歳入が増えた分は『必要なものには出す』と書き込むべきだ」(閣僚経験者)との意見が出ている。

 政府は諮問会議の下に有識者らによる専門調査会を設け、予算の政策効果をチェックし、無駄の削減や効率化を目指す。30年度には、PB目標の進捗(しんちょく)状況を点検し、目標達成に向け追加的な措置を検討する方針だ。

 骨子には、社会保障や地方行財政などの改革メニューは並んだものの、それらが市場の信認と国際的な評価を得るには具体性のある工程表が欠かせない。