ホームレス、全国的に激減 10年強で4分の1 生活保護など普及で

路上や公園などで生活するホームレスの人数が、自治体の調査結果で減少の一途をたどっている。全国調査が始まった2003年に比べ、今年は全国で4分の1に減り、兵庫県内では5分の1に。生活保護の受給などにつながった人が増えたとみられる一方、「わずかな所持金でネットカフェなどを転々とする人も多く、実態が把握しにくくなっている」と懸念する声もある。

厚生労働省のまとめでは、15年1月時点で、全国の自治体職員らが路上などで確認したホームレスの人数は計6541人。03年は2万5296人だった。03年に947人だった兵庫県は、過去最少の175人まで減った。

 うち姫路市でも03年の57人から23人に。民間団体「路上生活者ふれあいサークル レインボー」のスタッフ車田誠治さん(37)が5月下旬、JR姫路駅や姫路城、市内を流れる市川周辺などを安否確認のため回り、一晩で出会ったのは4人だった。約10年前の活動開始当初は20人ほどに出会ったが、駅前再開発や姫路城の大修理が進み、観光客が増えたのと反比例するように少なくなった。

 ホームレスが居場所を追われたようにも映るが、「家がなくても、行政支援を受けられることが浸透したのが一因」と車田さん。同団体では10年までの8年間で、約150人の生活保護や年金の受給を支援したという。

 同様の傾向は神戸でも見られる。「バプテスト・ホームレス支援ネット兵庫」によると、かつてはJR神戸駅や新開地周辺の夜回りで約120人に会ったが、今では15人ほど。「生活保護が受けやすくなり、炊き出しや相談先の周知も進んだ」と代表の森山一弘さん(58)。同団体は4月、こうした状況も踏まえ、20年間続けた夜回り活動を終えた。

 ただ、別の見方もある。家がない人の中でも、ブルーシートや段ボールを使って暮らす「定住型」に代わり、ネットカフェなどで夜を明かす「移動型」が増えた−との指摘だ。

 前年比43人減の39人となった尼崎市の担当者は「路上生活から生活保護受給に転じる人は年間10人に満たない。別の所へ移動しただけではないか」とし、「従来の定住型だけを調べていては実態が見えなくなる」と話す。