男女共同参画白書 性別役割意識強いと男性の長時間労働に

「夫が外で働き、妻が家を守ること」を家庭の理想と思う人の割合が高い地域で、男性の長時間労働が多く、働く女性が少ない傾向があることが内閣府の調査で分かった。19日閣議決定された2015年版男女共同参画白書に盛り込まれた。

調査は今年2月、インターネットで都道府県別に500人ずつ計2万3500人を対象に行われた。「自分の家庭の理想は、夫が外で働き、妻は家庭を守ることだ」という考え方について「そう思う」「ややそう思う」と答えた割合を調べた。

 全国平均は44.2%。都道府県別では、半数を超えたのは50.4%の奈良のみ。次いで宮城50.0%▽山口49.2%▽兵庫、福岡49.0%が高かった。最も低かったのは富山37.2%で、高知、岩手37.4%▽沖縄38.2%▽長野、島根39.0%▽山形、福井39.4%が40%を切った。東京は43.8%。地方別にみると、関西の6府県はいずれも全国平均を上回り、北海道・東北は宮城を除き全国平均より低かった。

 さらに白書では、この結果と男性の長時間労働者率や女性の有業率(いずれも12年の総務省調査)との関連性を調べた。「夫は外、妻は家」という意識が最も強かった奈良は、15〜64歳の女性の有業率が56.8%と全国最低となる一方、意識が全国で5番目に弱かった島根は1週間の労働時間が60時間以上の男性雇用者の割合が全国で最も少ない11.1%となるなど、性別による役割分担意識の強い地域は、男性の長時間労働者の割合が高く、女性の有業率が低くなる傾向がみられた。

 白書は「女性が希望に応じた就業を実現できるよう、男性の家事や育児への参加意識を高め、男性の長時間労働の是正することが重要」と指摘した。