栗田出版販売破綻 落ち込む販売、出版不況象徴 「業界再編避けられぬ」

業界4位の栗田出版販売の経営破綻は、書籍と雑誌販売が落ち込む近年の出版不況を象徴する出来事といえる。

 出版取次会社は、書籍や雑誌を出版社から仕入れて全国の書店に卸す、いわば「本の問屋」だ。書店が自由に返品できる委託販売制度のもとで、全国に一斉配送する仕組みを実現。日本出版販売とトーハンの2社が中心となって出版界の発展を支えてきた。

 そんな慣行を揺さぶったのが、娯楽の多様化や少子化などが原因とされる構造的な出版不況だ。出版科学研究所によると、出版物の推定販売金額は平成8年をピークに減少し、昨年は前年比4・5%減の1兆6065億円。落ち込み幅は昭和25年の統計開始以来、最大となった。

 本の返品率は40%近くで高止まりし、裁断などの費用負担も業界にのしかかる。インターネット書店最大手、アマゾンの台頭もあり、全国の新刊書店数は平成12年以降、右肩下がりを続け、26年には3分の2以下の約1万4千店にまで減少した(アルメディア調べ)。

 取り次ぎでも業界3位の大阪屋が昨年、楽天などの支援を受ける事態となり、出版関係者からは「戦後の出版流通システムは制度疲労を起こしている」と、変革を求める声も出ている。

 出版業界に詳しいジャーナリストの山田順さんは「出版不況で書店は大型店を残して急減している。小規模の書店しか顧客を持たない取り次ぎから淘汰(とうた)される状況だ。出版社、書店も含めた業界全体の再編は避けられないだろう」と予測している。