シャープの町田特別顧問が退任 液晶事業牽引で危機招く

経営再建中のシャープの元社長の町田勝彦氏(72)が特別顧問を退任したことが1日、分かった。6月23日付で、自己都合という。町田氏は液晶事業を拡大したが、過剰投資で経営危機を招き、高橋興三社長が就任した25年からは経営の一線から退いていた。「液晶のシャープ」の立役者が名実ともに会社から去り、シャープは再建を一段と加速する。

 町田氏は平成10年に社長就任。「国内で販売するテレビを液晶に置きかえる」という目標を掲げ、平成16年に稼働を開始した亀山第1工場(三重県亀山市)で生産した「アクオス」が大ヒット。シャープを売上高3兆円企業に押し上げた。

 その後も、亀山第2工場(亀山市)の建設を主導したが、韓国勢の安価なテレビの台頭などで、液晶パネル自体の需要が低迷。巨大な生産能力が裏目に出て在庫を積み上げ、23、24年度には2年連続で計9千億円を超える巨額赤字を招いた。

 19年に片山幹雄氏(現日本電産副会長)に社長を譲ってからも、同社では初めて代表権のある会長に就任し、影響力を堅持。相談役に退いてからも自ら海外企業への金策交渉に走るなどし、「経営の混乱を招いた」との批判も起きた。

 25年に高橋社長が就任してからは、無報酬の特別顧問に就任。関係者によると、最近は会社と連絡を取り合うこともほとんどなかったという。