「抜本的に改良する」 渋谷駅、“不便”の汚名返上なるか

不便な渋谷駅を解消する「3つのアプローチ」

 2013年3月16日に、東急東横線のホームが地上2階から地下5階へ潜った渋谷駅。これにより東横線とJR山手線などとの乗り換えが複雑で時間を要するものになり、東急電鉄によると「地下に潜ったことで、どこを歩いているのか分かりづらい」という声が一番多く寄せられているそうです。

 利用者からの不満が多い渋谷駅の乗り換えについて、その問題を解消すべく現在行っている工事の概要を2015年7月2日(木)、東急電鉄が発表しました。

 そこで「乗換の不便さを解消する3つのアプローチ」として挙げられたのは、「ヨコ移動」と「タテ移動」、「ゆとりの歩行空間」です。

「ヨコ移動」は「駅の改良工事」です。2021年度には、東京メトロ銀座線のホームがJR渋谷駅と渋谷ヒカリエのあいだ付近へ移転する予定です。またJR埼京線・湘南新宿ラインのホームも、山手線の隣へ移動させる計画が進行中。これによって各線のホームが近くなり、利便性の向上が見込まれます。

「タテ移動」は「アーバンコア設置」です。渋谷ヒカリエに見られるような、エレベーターやエスカレーターによって多層な都市基盤を上下に結び、人々を誘導するものが「アーバンコア」とのこと。エレベーターやエスカレーターを活用し、「タテの動線」が分かりやすく、より便利になるよう整備されます。

「ゆとりの歩行空間」は「東口地下広場」です。東急線の宮益中央改札付近からJR駅方向へ、およそ1600平米の地下広場が誕生。動線が横方向に広がり、人が滞留できることから、駅の動線に「ゆとり」が生まれるといいます。

継ぎ接ぎだらけの渋谷駅、具体的にどう変わる?

 これによって渋谷駅での乗り換え所要時間は、具体的にどう変わるのでしょうか。

 東急電鉄によると、まず東横線・東京メトロ副都心線とJR線の乗り換えについて、現在は約3分半を要するものが約2分まで短縮されるといいます。いま、この乗り換えでは階段とエスカレーター1基しかなく、経路も複雑ですが、階段のほか新たにエレベーターと5基のエスカレーターを設置。東横線・副都心線のヒカリエ前改札がある地下3階とJR線改札のある1階が直結され、ベビーカーや車いすでの移動もしやすくなるそうです。このエスカレーター設置は2019年度が予定されています。

 東横線・副都心線と銀座線の乗り換えについては、現在の約4分から約2分半まで短縮されるとのこと。銀座線のホームが東へ移動するため、明治通りをまたぐことなく乗り換え可能になります(各所要時間は通常時、歩行80m/分、エスカレーター30m/分で算出)。

 東急電鉄広報部の森さんは、改良後も混雑時はこの数字より所要時間が長くなる可能性があるものの、むしろそうした混雑時こそ現状から大きく改善され、改良の効果が発揮されるといいます

「継ぎ接ぎだらけで分かりづらい」という声も多いという渋谷駅。東急電鉄は、今回の工事でそれを「抜本的に改良する」と話しています。