北方領土、国民に分与=プーチン政権が法案、支配固定化も―ロシア

ロシアのプーチン政権は、極東連邦管区の経済発展のため、希望する国民に北方領土を含む極東の土地を1人当たり1ヘクタールずつ分与する法案をまとめた。
 上下院での可決などを経て、年内にも制度がスタートする見通しだ。
 北方領土などの人口増加を図ることが目的。ロシアによるウクライナ南部クリミア半島編入や、旧ソ連の戦勝70年の節目で国民の愛国心や領土保全意識が高まる中、北方領土の事実上の支配強化につながりそうだ。
 北方領土には8月にもメドベージェフ首相が3度目の訪問を強行する見通し。ロシア政府は、現行の「クリール(千島)諸島社会・経済発展計画」の次期計画(2016〜25年)も閣議決定したばかり。日ロ両国はプーチン大統領の年内訪日に向けて調整中だが、法案は日ロ関係に影を落としそうだ。
 法案は、ロシア極東の発展を「21世紀の優先課題」と公言するプーチン大統領の号令の下、側近のガルシカ極東発展相が主導。ガルシカ氏は7月28日、モスクワでの記者会見で「極東の中で制限は設けない」と述べ、北方領土も土地分与の対象になり得るという認識を示していた。