日生 三井生命を買収へ…首位奪還目指す

日本生命保険が三井生命保険の買収を検討していることが26日、分かった。日本生命が、三井住友銀行など三井生命の主要株主から株式の約8割を買い取り、子会社にする。買収金額は3000億〜4000億円規模になる見込み。国内生保では、明治生命保険と安田生命保険が合併して明治安田生命保険が誕生した2004年以来、約11年ぶりの大型再編になる。三井側とも大筋合意しており、9月までに買収を最終合意したい考え。同社株を買い取り、来年3月までに買収完了を目指す。

 ◇11年ぶり大型再編

 業界首位に君臨してきた日本生命は昨年度、売上高に当たる保険料等収入で第一生命保険に戦後初めて業界首位の座を奪われた。人口減少などで国内は大きな成長が期待できない中、買収を通じて国内市場での競争力を高め、トップ奪還を目指す。第一生命の15年3月期の保険料等収入は5兆4327億円。日本生命と三井生命を合わせると5兆8822億円となり、第一生命を上回る。

 日本生命は保険契約者が出資する相互会社で組織形態の違う株式会社との合併はできないため、三井生命を子会社化して、同社の名前は残す方針だ。同社の契約者の保険内容に影響はない。

 日本生命は、自社の営業職員が全国に強固な販売網を築いて長年国内シェアトップを誇ったが、銀行の窓口で販売する保険商品の収入で第一生命に大きく引き離されている。三井生命は銀行窓販を以前から行っており、三井系企業の団体保険にも強みがある。日本生命は、三井生命を傘下に収めることで営業職員以外に商品の販路を広げて国内の販売基盤を強化する。

 日本生命は今後10年以内に国内外の企業の合併・買収(M&A)などに最大1兆5000億円を投じる方針を示している。国内の生保市場は少子高齢化や若者の保険離れが進む中、大きな成長を見込めないため、第一生命や明治安田生命など大手各社は米国の生保会社を買収して収益力アップを図る戦略を打ち出している。日本生命が三井生命の買収に乗り出したことで、約40社ある国内生保業界の再編が加速する可能性もある。