ファミマ、ユニー統合に立ちはだかる2つの“懸念”

ファミリーマートと、サークルKサンクスを抱えるユニーグループ・ホールディングスとの経営統合の基本合意が、9月以降に延期される見通しになった。2016年5月の株主総会での承認を経て、同年9月に統合完了という予定に変更はないが、協議を本格化して以降、新たな懸案事項が出てきたためだ。

かねて、ユニーの本業であるGMS(総合スーパー)の立て直しや、ブランドの一本化など課題は指摘されていたが、これは当初から分かっていたこと。ここにきてファミマ内部から懸念の声が上がっているのが、ばら色に見えたコンビニエンスストアの統合がもたらすメリットである。

 その一つが、コンビニの店舗改装費用。ファミマはこれまで冷蔵ケースといった店舗設備への投資を積極的に進めており、「サークルKサンクスと比べて、かなり差がついている」(ファミマ関係者)。

 このため、一般的な店舗改装費用は1店舗当たり1000万円程度だが、サークルKサンクスを“ファミマ仕様”に改装した場合には、1500万円程度掛かるという試算もあるのだという。

 約6300店あるサークルKサンクスの店舗を全て改装した場合、単純計算で約950億円に上る。それだけの投資に見合った効果が果たして得られるのか、ファミマ側に疑念が生じているのだ。

● 賃料メリットは? 

 さらに難航しているのが、ファミマとサークルKサンクスの重複店舗の扱いである。営業エリアが重なる店舗は、独占禁止法の問題もあるため閉鎖するほかないが、その規模や、どちらの店舗を存続させるかについての調整に手間取っている。

 とりわけ頭を悩ませているのは、店舗数の多い都市部に重複店舗が偏っていること。高い売り上げが見込める都市部の重複店を閉じ、得られるのは地方の収益性の低い店舗だけ──。そんな事態になって採算性が悪化すれば、統合のメリットは失われてしまう。

 ファミマは09年にam/pmを買収した際に、約1100店あった店舗の約3割を閉鎖した。

 当時を知るファミマの関係者によれば、買収の決め手の一つとなったのは「am/pmの店舗の家賃が、相場より約2割安かった」こと。安い賃料で店舗数を増やせたことが、大きなメリットだったというわけだ。

 現在、都心の賃料は上昇傾向にあるため、契約により相場より安い賃料で据え置かれている店舗を増やせる可能性は残されているものの、am/pm買収時ほどの効果が出るかどうかは未知数だ。

 とはいえ、王者セブン-イレブンに追い付くためには、ファミマとサークルKサンクスが手を組むほかに有力な選択肢がないのも事実。スピード感を持って交渉を進めなければ、セブンの背中は遠のくばかりだ。