大勝軒創業者・山岸氏の妹「怒ると思う」弟子分裂騒動で心境語る

人気ラーメン店「東池袋大勝軒」(東京・豊島区)の創業者で、今年4月1日に亡くなった山岸一雄氏(享年80)の弟子約60人で構成された互助組織「大勝軒のれん会」が分裂状態にあることについて、山岸氏の妹・斉藤節子さん(78)が、スポーツ報知の取材に応じ、心境を語った。現状を聞き心を痛める節子さんは「みんな仲良くやってほしい」と訴えた。

2007年に閉店となった「大勝軒」旧本店時代には、店頭に立ち兄を支えてきた節子さんは、弟子たちが分裂状態にあることについて「全く知らなかった」と驚いた。「東池袋大勝軒」2代目店主・飯野敏彦氏(47)に対して「のれん会」を脱会した弟子らを含めた31人が「大勝軒 味と心を守る会」を8月1日に発足したが「みんな仲良くやってほしいのに…」と複雑な表情を浮かべる。

 「守る会」代表の「お茶の水、大勝軒」店主・田内川真介氏(38)は、脱会した大きな要因として、4月8日に執り行われた山岸さんの告別式の後、火葬場に入れてもらえなかったことを挙げた。当時、喪主を務めた節子さんは「弟子が閉め出されているとは思わなかった。かわいそうだった」と振り返り「本店幹部の判断だったと思う。ちょっと頭にきた」と話した。

 通夜・告別式では、香典返しとして「東池袋大勝軒」とメーカーが共同開発したカップ麺が配られた。節子さんは関知していなかったが、親戚から「何でカップ麺なのか」と苦言もあったという。「普通は(香典返しは)お茶やハンカチなのに。葬儀業者も驚いていた」と明かした。

 節子さんは一方で、飯野氏については「兄が認めた2代目で、マジメで優しい」と人柄を評価し、期待をかけている。「兄は子供がいなかったから、お客さんに『息子ですか?』と言われるとうれしそうにしていた」という。

 “ラーメンの神様”として多くの人に愛された山岸氏が亡くなって程なくして弟子たちは分裂。節子さんは「今は店の経営に関わっていないので、何も言えない。でも『麺絆(めんばん=メンがつなぐきずな)』という言葉が好きだった兄が生きていたら『何やってるんだ』と怒ると思う」とさみしそうに話していた。